諸行無常か因果応報か。「平家物語」を通しで読んでみた

平家物語のアニメが有料チャンネルで公開中。
https://heike-anime.asmik-ace.co.jp/

このテーマでアニメやるのか…全員死亡ENDなんだが…? みたいな感じで見ていたのだが、ふと気がついたのだ。
そもそもワイ、平家が栄えてたあたりの話ほとんど知らない。

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「平家にあらずんば人にあらず」とか「おごる平家は久しからず」とかは知ってるし、清盛が熱病で焼け死ぬようにして死亡した、とかも覚えてはいたのだが、それ以外の部分で平家一門の人がどのくらい居たのかなどサッパリ知らない。

そこで、改めて「原作」を通して読んでみることにした。…長い!

平家物語 池澤夏樹=個人編集 日本文学全集 - 古川日出男
平家物語 池澤夏樹=個人編集 日本文学全集 - 古川日出男

なんと前半分は平家一門の栄華を極め思い上がっていくさまを描いていて、清盛の一代記の部分だけでもとんでもなく長い。前フリとして、平家が誅伐されるまでいかにやりたい放題していたかという話が続くのである。
寺社の焼き討ちなどもやらかすため、神々によって「平家は滅ぼし護国の座は源氏に渡そう」と決められる。

栄えし者たちが没落してゆく「諸行無常」の要素よりは、まさに「盛者必衰」、そして因果応報とかに近い感想を抱いた。そりゃそうなるだろう、と言うしか無い展開である。

そして自分がなぜ後半しか知らなかったのかも気がついた。
後半、都落ちした平家は四国に渡り、屋島に御所をつくる。讃岐や阿波の武士たちが平家のもとに参集する。そう、徳島が関係するのが後半だけだったから、後半しか詳しく知らなかったのだ…。
屋島も遠足で行ったよ…先生に説明受けたりしたよ、覚えてる。祖谷のかずら橋も何度か渡りに行ったし落ち武者の話しも読んだな。ていうか落ち武者ってそういう職業の人だと思っていた子供の頃。いや、あまりにもあちこちに「ここに落ち武者来ました」「ここに落ち武者住んでました」とかの言い伝えがありすぎて…。

四国の民にとっては、平家が都落ちしてからが物語の本番なんだ。
合戦に出てくる地名だいたい分かるしね。

そして原作、合戦終わったあと平家一門の人々が一人ずつ処刑されていく展開もあった。
身を立てはじめた最初の祖先から六代目にあたる六代御前が出家するも処刑されるところで嫡流が絶え、「平家物語」としては完。
最後は尼に身をやつした建礼門院と女房たちの祈りによって幕を閉じる。

戦記物、とはいうものの、平家一門の血統と、いかにして栄え、いかにして滅びたかで綺麗にまとめているあたり、戦記なのは後半部分だけで全体をまとめると一族の物語、タイトルどおり「平家物語」と呼ぶしかないものだと思った。



この物語は、複数人によって書き記されたものがまとめられていて、後世に挿入された話しも多い、という。
確かに余計な付け足しっぽい話がやたら多い。高倉院が崩御となれば、院が生きて居た頃のエピソードを三つも四つも差し挟んである。三種の神器の話題がでれば、そもそも神器とは…と昔話から始める。長くなっているのはそのせいだ。
琵琶法師によって語り継がれる中で付け足されたものもあるだろうが、多くは書き物語として追加されたのだろう。という。いわばオムニバス形式とでも言うべきか。識字率がそこそこあり、物を書く人が多かった日本ならではの物語の作り方だろう。

あまり識字率が高くなく、王や貴族もそこまで物を書かなかったうえに写本といえば僧院の仕事だった中世のヨーロッパ各国と比べてみると、だいぶ異なる経緯で成立しているなと思う。
とにかく長い物語なのだが、この独特の雰囲気や当時ならではの描写(強訴シーンがやたら多いとか)は面白いので、一度は省略なしのフルで読んでみるのもアリだと思う。