曜変だけじゃない、天目茶碗の歴史と魅力「天目 てのひらの中の宇宙」

タイトルかっこよかったのと、表紙の写真がきれいだったんで手に取ってみた本。 大判なので写真も大きくて写真集としてもいいかんじ。茶器とか陶器好きな人はきっと気に入るはず。 天目 てのひらの宇宙 (別冊『炎芸術』) 「天目茶碗」とは、現代では喫茶用の黒釉(こくゆう)碗全般を指す言葉で、元々は中国の天目山に由来する名前。かつて中…

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エジプトのロイヤル・マミーズ・パレード、盛大に行われる。気になるのは残りのミイラの行方だが…。

4/3に行われた黄金のパレード、1時間フルの動画 https://www.youtube.com/watch?v=cHaYy471EwU&t=1s めっちゃ派手だなオイ。さすがエジプトさんや。 ラメセス2世陛下とかこういうの好きそう。 たぶん天皇即位の儀式で平安時代のお祭りを再現してるうちの国の儀式を他の国の人が見た時の…

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ベネズエラ経済が破綻に至るまでの20年。「ベネズエラ―溶解する民主主義、破綻する経済―」

かつてアメリカよりも豊かといわれ、世界最大の原油埋蔵量を誇るベネズエラ経済がなぜ崩壊し、GDPが半減どころじゃない状態に陥ってしまったのか。これは、そんな事情を詳しく説明した本である。 ベネズエラ-溶解する民主主義、破綻する経済 (中公選書 115) - 坂口 安紀 経済よりの本かなーと思って読んでみたら、序盤はベネズエラと…

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博物館でお花見を。一年半ぶりくらいに東京国立博物館に行って来た

去年はコロナで中止になり見られなかったトーハクの桜。 今年も入場数制限などはありつつ、予約して朝イチで散りぎわの桜を見に行って来た。 雪のように舞う花びら、一面桜色の地面。美しい… やはり桜は散り際が最高に美しい。 博物館本体では、桜に関連した展示物を常設展のあちこちに散りばめて展示してある。 今しか見られない…

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サブスク時代の学術論文の探し方と、大量にありすぎて読み切れない。という話

サブスク=サブスクリプションとは、たぶん10年くらい前から一般的になり始めた概念で、概念的には「定額レンタル」に近い。身近なところだと、アマゾンプライムに登録しておくと、定額で本やマンガ、映画などが見放題できる。たとえば、特定作品のDVDをお金払って買うのではなく、月々いくらのお金を払っておけば大量の選択肢の中から自分の時間の許す限り何…

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ツカツクリという鳥の作る巣と恐竜の卵 ~その記憶は、はるか昔から受け継がれていたかもしれない。

ニューカレドニア島には、塚のように見える謎の遺跡があった。 中心部にコンクリ状になった物質のある明らかに何者かが作った柱のような構造で、ただし旧石器時代の人類が作ったものにしては古すぎる、というのでかつて謎と言われていたものらしい。 実はそれは、今は既に絶滅してしまったツカツクリという鳥がかつて作った「塚」だったことが判明したの…

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もしかして: 貿易港ベレニケ、紀元前3世紀に一時的に放棄されたのは井戸水が枯れたからでは説

エジプトのナイル川沿岸以外の街は、井戸水が枯れたらおしまいなんである。 ナイルはそう簡単には干上がらないしそもそも流量も多いのだが、他のナイルに面していない諸都市は地下水頼りである。井戸水汲み上げるか、オアシスから水を引くしかない。雨が降らなくて川沿い以外は沙漠しかないからだ。 それは紅海沿岸の街でも同じ。 その紅海沿岸の…

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エジプト~ヒジャーズ(アラビア半島の紅海沿岸部)の海上交易路とハウラー遺跡の情報

コロナのご時世で、発掘報告会もリモート聴講できるいい時代になり申した。 東京まで出て行かなくて済むのでめっちゃ楽。今なら報告資料もPDFでダウンロードできるぞ。日本の発掘隊ってこんな感じのことしてるんだー、みたいなのが分かるよ。 http://jswaa.org/meetings_all/session/ さて聴講してた中で、…

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アクエンアテン王かもしれない、とされたミイラ、生前の顔が復元される。

詳細な報告はまだこれからだそうだが、ツタンカーメンの近縁の親戚と考えられているKV55(王家の谷の55番墓)から見つかったミイラの顔面復元が公開された。古代エジプト第18王朝(アマルナに首都を置いたことから、「アマルナ王朝」とも呼ばれる) King Tut's father revealed in stunning facial …

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エジプト・カイロで、古代王たちの世紀のパレードが開催されるよ!(ミイラ移送)

カイロの中心・タハリール広場に面したカイロ博物館は老朽化していて、現在、新築の周辺博物館に遺物を分散中。今回ついにメインの王や王妃たちのミイラがフスタートにあるエジプト国立文明博物館へ移転されるとのこと。 Egypt’s highly anticipated royal mummies parade set for 3 April…

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ナイル川の水はほとんどエジプトに辿り着かない。途中で蒸発するか使われてる。という話

何を調べてたのか分からないけど気が付いたら辿り着いた資料が面白かったので、ちょっとメモしておくことにする。 ナイル川はとても長くて、上流で降った雨のじつに95%がエジプトの手前で蒸発霧散してしまい、そもそもエジプトに辿り着かないらしい。 国際河川ナイル川の水資源(1) https://agriknowledge.affrc.g…

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古代マヤでは塩も貨幣代わりに使われていたのでは? という話

お給料を意味する言葉「サラリー」の語源は、かつてローマ帝国において、騎馬や兵士たちへのお給料の一部として塩(ソル)が使われたところにある、という。 そんな話を思い出しながら、こちらは古代マヤである。 マヤ人が塩を製造していた遺跡が見つかり、出来上がった塩を一定の大きさで"ケーキ"のように固めて取引していたことから、もしかして貨幣…

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紀元後1世紀、ヘレニズムの時代にエジプトからエチオピアへ輸出されていたもの。

エチオピアは実はヘレニズム世界の端っこに属している。 と言うとなんだか不思議な感じがするが、グレコ・バクトリア王国やアレキサンダーの遠征の都合でインドについても同じことが言えたりするので、案外広い範囲を示す言葉なのだ。 で、そのエチオピアに、エジプトを通じて地中海世界から何が輸出されていたのか、という話である。 前段として…

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「世界で最初に銅器を生産しはじめたのは北米インディオ」という現実。(おそらく今後は定説化するはず)

金属器の生産技術の歴史ってユーラシア大陸中心で語られるのがほとんど全部なんだけど、実は世界で最初に銅器の生産技術を手にしたのはどうやら北米インディオ、ということになりそう。(北米先住民の中でも、エスキモー諸部族を除くいわゆる"インディオ"がここでの対象) Ancient Native Americans were among th…

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地理的な「メソポタミア」の定義が分かりづらい…調べてみたらトルコまで入ってた件について

なんか本によってメソポタミアの定義がえらい広いな…時代によるのかな…と思ってちょっと調べてみたんだけど、現代の考古学における「メソポタミア」の定義が思ってたより広かった。 ★みんなが想像しやすい代表的な「メソポタミア」 バクダット以南の、チグリス川とユーフラテス川が海に向かって合流していくところ。 しかし実はこの範囲は半分…

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古典期マヤの人骨から推測される「生きることの困難」について

マヤの都市一つ、エル・パルマルから出土した貴族の骨から、生きていた間に多数の困難に見舞われていたらしいことが伺えるという。当時のマヤ人の暮らしぶりの一端が伺える発見だと思うので、ちょっとメモしておこうと思う。 An ancient Maya ambassador’s bones show a life of privilege a…

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シリア戦争と貿易港の運命: プトレマイオス朝エジプトの政策の転換期

こないだ、エジプト紅海沿岸の港ベレニケについて調べていた時に、この港がアフリカ南部からゾウの輸入を止めた理由が「シリア戦争であんまり役にたたなかったからではないか」という話が出て来て、ほほう、そこ繋がるのかー。という感じだったのでちょっとメもしておく。 前回調べてたやつ→ ローマ支配時代のエジプト沿岸の街ベレニケと古代のペット事…

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【人類vsバッタ軍】IT活用でのバッタ追跡システムが良く出来てる。やれば出来るぞ人類

人間って追い詰められるとテクノロジーが進化する生物なんだよなって、シミジミ思うんですよ。 昨年騒がれていたサバクトビバッタの大発生、あれからどーなったかってまだ発生は続いてるんですが、だいぶ範囲は絞られてきた模様。 そして数十年ぶりの大発生によって、人類はバッタ迎撃システムを次々開発してこの数年で一気に進化してきてます。 …

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海外の「ブルカ禁止」にまつわる、最初に知っておくべきこと。

ここのところ、色んな国でイスラム教の「ブルカ禁止」という法律が成立しつつある。 これに対して、治安上仕方がない、とか、女性を抑圧するような決まり事は無くしたほうがいい、という声もある一方、宗教の自由があるのだから考慮されるべきだという声や、イスラム教に対する冒とくではないのか、といった声もある。 しかしその議論をする前に、まずは基本…

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死海文書が60年ぶりに見つかる!→「死海」文書じゃないし60年ぶりでも無い…。

映画ヱヴァンゲリヲンの完結が盛り上がっている時に流れたニュースなので食いついた人もわりと多かったんですがこれ、ニュースになった時点で色々と不正確な情報が混じってます…。 貴重な発見なのは間違いないんですけど死海で見つかっていないので死海文書ではないし、60年ぶりではなく「正式な発掘で見つかったのが60年ぶり」というだけで盗掘品の発…

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人は何にエロスを感じるのか。古代人の「ヴィーナス」の変遷と現代の進化について

少し前にこんな実験があった。 ランダムに組み合わされていく色と形の中から、少しでもエロスを感じるほうを選択していくうちに、だんだんエッチなものの定義が固まってゆく、という実験だ。 「遺伝的アルゴリズム」でエッチな画像を作る紳士的実験が注目集める 抽象的な図形が学習の末におっぱいへ進化 https://nlab.itmedia.…

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ローマ支配時代のエジプト沿岸の街ベレニケと古代のペット事情/なぜ大量の猫がそこで飼われていたのか

少し前のニュースになるが、エジプトの紅海沿岸にある古代の港町ベレニケから、大量の猫(一部は犬)の骨が見つかった、というものが流れていた。 当初はゴミ捨て場に集められた動物の骨、という認識だったのだが、よく調べてみると首輪をつけていたり、ほとんどの動物が老齢だったりと、どうもペットとして飼われていたのではという説が出て来た。 この…

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古代エジプトの服飾・縫製事情 ~古代人の型の取り方

服の縫製って時代ごとに違うんだよね、という話をしていてちょっと思い出したのだが、古代エジプトの服の縫製の仕方って現代から見るとけっこう面白い。 えっ古代エジプト人って布巻いてたんじゃないの?? と思うかもしれないが、実はチュニックの出土例も多いのだ。 たとえばこちら、トリノ博物館所蔵の第5-6王朝くらいの時代とされるチュニック。お墓…

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古代遺物の解読に纏わる「ソース」の問題点 ~後世に内容が変更されるパターンについて

古代の碑文や巻物の解読内容は、実は二次的なソースからの解読であることが多い。一次的なソースである遺物そのものを目の前に置いてあれこれ調べながら翻訳、というのは難しいからだ。ガッチリ焼成された粘土板であればそう簡単に崩れないだろうし持ち運びもしやすいだろうが、脆くなったパピルスや繊維のほつれた紙は保管のためにそうそう動からないし、はたまた…

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中央アジアで生まれた記号「タムガ」についての覚書き

ちょっとアジアの遊牧民の遺跡を調べていたら、「石にタムガが刻まれているものがある」という記述が出て来て、なんぞやと思ってちょっと調べてみた。これは個人や家系などを示すシンボルのことで、現在でも遊牧民が家畜の所有権を示すために家畜の耳に刻んだり、身体につける焼き印としていたりするらしい。 起源についてははっきりしていないが、今のとこ…

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「エラムとインダスの間」2000年代初頭に盗掘品から発見された未知の文化圏の研究成果が少しずつ明らかに

イラン高原で近年見つかった未知の文化圏、ジーロフト文化についての記事がナショジオに上がっていた。 洪水で4000年の眠りから目覚めたジーロフト文化、イラン https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/21/030100098/?P=1 この文化は発見地の名前をとってジーロフト文化…

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【三神合体】セラピス神+アメン神+アガトダイモン神というとんでもない合体神を発見した

世界の蛇の神についての本に「エジプトのアメン神も蛇の姿をとることがある」と書いてあり、ん? アトゥム神と間違ってね? と思いながら調べてみたら、ほんとにアメン神だった。しかし正確に言うとこれはアメン神にギリシャのアガトダイモン神を混ぜて、ほぼ原形なくしたものだった…。 ていうか、なんでこんな無茶な混ぜ方をしちゃったんだ。 実際見…

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古代エジプトのミイラづくりマニュアルが再構成される。紀元前1500年のミイラづくりに関わる文書の一端が明らかに

最近流れていた「ミイラづくりミニュアルを発見」というニュース。 このパピルス自体は以前から見つかっていて、ルーブルとコペンハーゲンに分かれて収蔵されている。コペンハーゲン大の学者さんがそのパピルスを再解釈して、内容からミイラづくりの手順を構成した、というものだ。パピルスはいわゆる「医療パピルス」の一種で、薬剤に関する知識を記載した…

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最近「昆虫食」を推して来る人を見かけるのだが、前提として昆虫を家畜化しないと無理だよね

食料事情の改善と絡めて昆虫食の輝かしい未来を語る論調のコラムを何本か読んで、正直「ちょっと浅いな」と思ったので、ツッコミがわりに根本的なことを書いておきたい。 ■現状の昆虫食は「ジビエ」と同じポジションでしかない これは、愛好家だけが食べているとか、珍しい食べ物だとかいう意味よりは、文字通り「野生動物を狩って食べているの…

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