砂漠に町を作るには水が必要。どこから持ってきているんだろう、とちょっと調べてみたのだが

エジプトさん、首都移転は12月に開始とのことだが、ナイル川から離れたところに町が作れるのは現代ならではである。
何しろ人間は水がないと生きていけない。エジプトは雨がぜんぜんふらない国なので、飲料水は川に頼るしかないのである。

エジプトさん、首都移転を開始。遷都はロマン…!
https://55096962.at.webry.info/202111/article_4.html

ちなみに、有史以来(※おおよそ紀元前3,000年以降)のエジプトでは、首都はすべてナイル川沿い。(※アレキサンドリアなども、建設当時はナイル川の支流が繋がっていた)
人口が一定以上の大都市も、一部の紅海沿岸などを除けばナイル川沿いに作られていた。オアシスの水や地下水では、大きな人口はまかないきれないのである。

Image1.jpg
*出典元「古代エジプト 都市文明の誕生」

でも、今回の新首都はカイロから東へ40kmと砂漠のど真ん中。ナイル川の流れすら見えない場所にある。
問題は、そこまでどうやって水を持ってくるのか、である。


で、ちょっと調べていたのだが、結論から言うとナイル川から水を引き込むらしい。まあ、それ以外には無いよね…と思っていたけど、40kmぶんのぶっとい水道管を設置するということなのだから、「…大丈夫か?」と考えてしまうところ。いや、あの、たまに地震ありますよねエジプトさんも。あと元々水不足のところへ、大都市優先で水を送ったらカイロの旧市街に残った住民の分が無くなったりしませんかね…。

Egypt lining up to establish major drinking water plant in new capital
https://en.amwalalghad.com/egypt-lining-up-to-establish-major-drinking-water-plant-in-new-capital/

Egypt builds new water station outside Cairo as fears over Ethiopia dam persist
https://www.al-monitor.com/originals/2021/09/egypt-builds-new-water-station-outside-cairo-fears-over-ethiopia-dam-persist

・カイロ郊外に大規模な水処理プラントを建設予定
・廃水を処理して畑に使う

<前提知識>
・エジプトでは排水処理設備が不十分で、汚染水が垂れ流されることが多い。もし水を適切に処理して廃水から再利用できれば、必要な水を節約できると考えられている。

・エジプトで必要とされる水の大半は、畑の灌漑のために使われている。エジプトではGDPの1/5くらいが農作物だが、雨が降らない国なので作物を育てるのに必要な水はほぼ全てがナイル川からの取水。

・畑で灌漑に使った水は塩分を含み、適切な処理がされないまま川に戻されると下流に行くに従って塩分濃度が上がる。


余っている土地である砂漠に都市を作れば、確かに人口密集は解消されるのだが、そもそもの飲料水が足りなければそこに人は住めない。
というか、古来よりナイル川沿いにしか大きな街が作られなかった理由も、まさにそこにあるのだ。現代技術によって補える部分はあるにしても、リスキーな都市建設だな、と思う。

また、最近では紅海の海水を濾過して淡水に変えるというのもやっているようなのだが、調べてみると、コストがかかる、過程で二酸化炭素が大量に排出される、淡水を濾過したあとに残った高濃度の塩水を海に戻すと生態系が破壊される、などの問題があるようだ。

中東・北アフリカ地域の水問題: エジプトに焦点を当てて
https://www.jstage.jst.go.jp/article/merev/7/0/7_Vol.7_Rep04/_pdf/-char/ja
16900--.png

最近では、二酸化炭素の排出が比較的押さえられた手法なども出ているようなのだが、とはいえ塩水については工業用に再利用できるよう精製するでもしなければどうにもならないだろう。また、作れる量が少なければ都市をまかなえるほどにはならない。

いずれにしても、エジプトさんの未来はいまだナイルの流れにかかっている。ナイルを離れ都市を築こうとも、いまだナイルを完全に離れるには至らないのだろう。