気候変動と人口移動の時代。「人はどうやって世界に拡散したか」という一つの答え

気候変動は、数万年単位で見ればごくありふれた現象である。
というか、ここ1万年の気候が例外的に安定的だっただけで、本来、地球の気候は定期的に変動し続け、安定しないほうが普通だという見方もある。
…という話を、少し前に読んだ本の感想として書いた。

地球は過酷な場所だった。「人類と気候の10万年史」
https://55096962.at.webry.info/202107/article_9.html

この過酷な気候に対応するために人間が選んだ生存戦略の一つが「移住」だ。
わざわざ過酷な場所に居続ける必要がない。食べ物が減ってきたなら、たくさんある場所に移動すればいい。狩りの獲物を追って移住したり、食性の分布の変動に従って住処を変えたり。
「出アフリカ」も、既に、一回きりのイベントでは無かったことが分かってきている。過去に何度も温暖化するたびにアフリカを出て、おそらく、また戻っていった。

人類、アフリカを出たり入ったり。アラビア半島の砂漠から数々の証拠が見つかる
https://55096962.at.webry.info/202109/article_5.html


そんな中、最近のトレンドは気候変動による移民、である。
少し前にはシリア危機によるヨーロッパへの大量の難民・移民の流入がニュースになっていたが、今や経済難や戦争以外でも、「より住みよい地域を目指して」という移民も増えている、という。

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/21/100100475/

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よく出てくるのはアラビア半島で、最近では夏に50度を越える地域が増えているため、そのうち人が住めなくなるのでは、なんて言われている。
逆に居住環境が改善しているのはグリーンランドなど北のほうで、永久凍土が溶けて草原が出てきたので牧場に出来る場所が増えた、などという話を聞く。

人は必ずしも定住して特殊な食べ物を食べているわけではない。移住先でだいたいなんでも食える。
生きづらくなったなら、移住すればいい、というのは生存戦略として当然の選択肢の一つだ。数十億人が移住、というのは言い過ぎかもしれないが、百万人単位での移住は有り得るだろうな、と思っている。

というか今の段階ですでに、雨がふらなくて飲水の確保が困難になってる地域とかもあるので、移住せざるを得ない。


人類の大規模な移住の世紀が幕を開けたのだとすれば、人類史マニアとしては実に興味深いところだ。
何しろ、かつて人間が世界に拡散した時代の再現実験のようなものだからだ。気候が変動する時、人は群れ成して移動する。たとえいったんは定住生活をしていても、再び移住の生活に簡単に戻ってしまう。


まあ、余裕こいて見てられるのは自分の住んでる地域は大丈夫だろうっていう上から目線でもあるんですけど…。日本は温帯だし、元々大規模な天災食らいまくってある意味慣れてるので、大抵のことはどうにかなるだろうってタカを括ってられるんですよね…。
ヨーロッパの国とか今まで災害少なすばのボーナスステージだったんだと思います。川に堤防ないの普通だったりするし。

五十年後の世界の人口密度とか、どうなってるのか、ある意味で楽しみである。