キリスト教はいかにしてユダヤ教から分離したか。「キリスト教の幼年期」

歴史書でも宗教学でもなく、微妙に中途半端だったのと、本一冊ぶんあるわりに抜粋したら内容はそんなに濃くないな…という感じ。
でもまあ、たぶん好きな人は好きかも。ざっくり言うと、キリスト教が母体となるユダヤ教集団から独立して、「キリスト教」という別の宗教団体として成立するまでの約100年を詳細に書いた本である。

キリスト教の幼年期 (ちくま学芸文庫) - エチエンヌ・トロクメ, 加藤 隆
キリスト教の幼年期 (ちくま学芸文庫) - エチエンヌ・トロクメ, 加藤 隆

前提として、イエス登場以前のパレスチナのユダヤ人は小集団に分かれており一枚岩ではない。
また、ユダヤ教と完全に分離していない時代のキリスト教も、「xx派」みたいな派閥に分かれており、ヤコブとパウロで宣教してる内容が違うとか、けっこうバラバラである。信徒も数万人程度の新興宗教、というかユダヤ教の一派みたいな感じだった。

それがユダヤ教から分離するのが紀元後100年くらいのことで、その後の50年ほどで完全に分離・独立を果たす。
ローマによるエルサレム破壊後の危機的な状況を、いいカンジの福音書作成と教義ロジックの組み立てによって乗り切ったのがキリスト教徒たちだった。
そして、ローマに忠実な態度を示すことで、のちに公認宗教にまで成り上がるのである。


流れをまとめると、だいたい↓こんな感じ。

ぶっちゃけイエスがやったことはあんまり大したことがなく、熱心に布教しまくった一部の弟子たちの機転と、その後の政治的な偶然などが重なって世界宗教まで成り上がっている。あと、初期の信者に貧しい人々が多く、「わかりやすく」、かつ「誰でも救われる・恩恵を得られる」宗教に仕上げられたのが大きいのかなと。
貧民はいつの時代も最大勢力だし、支配者が利用しやすいのは、一般庶民に訴えられる宗教だよね…。


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25年ごろ ヨハネ登場、人気に

30年ごろ イエスの活動と死去(活動してたのは1年くらい)

 →弟子たちは活動を中断、故郷に戻るなどしていたが、「復活」を経て活動再開
 →最初の活動は他のユダヤ集団と同じく小集団での教育。道徳も多く含まれる

44年 ペトロ逃亡
   ヤコブ台頭

   シメオン登場
   このあたりイエスの血縁者によるリーダーシップ

   弟子たちは各自バラバラに布教活動をしている
   各地での伝道活動

   パウロがめっちゃがんばる

60年代 エルサレムでの活動はヤコブのもとでの選民思想
    まだ異民族や異教徒への宣教はあまりやってない
    他の使徒たちの教会とも協力が微妙

62年 ヤコブ殺害

69~70年 ローマ軍によるエルサレム包囲と神殿破壊

70年以降 エルサレムに戻るが有力な後継者がいない。
     またキリスト教徒の迫害の時代でもある

     ユダヤ教との断絶

80~85年ごろ 第二世代、使徒の定義などが厳格化される

     この頃のキリスト教徒は数万人規模と推測
     主要な福音書が編纂、構成される

     既に死んでる使徒たちの権威を借りた文書の作成

~95年ごろ パウロ書簡集がロールアウト

100年ごろ 母体となるユダヤ教から完全に離脱
      教会組織の再編纂

 →ここでようやく、ユダヤ教と決別し自立した宗教としてやっていくことに


~110年ごろ 第四福音書の作成

ユダヤ人がローマ人に対して蜂起するが、ギリスト教徒はローマに対して忠実に振る舞う
またユダヤ教徒とは「別」と自覚しており、ローマから弾圧を受けない

130年ごろ 新約聖書テキストの中で最も新しいものがアレキサンドリアで成立

150年ごろ グノーシス主義が盛況
      このころまでには、キリスト教が成熟したとみなされている

============== 幼年期の終わり

313年 ローマがキリスト教を国教化する

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欲を言えば、もうちょっと歴史よりの記述が良かった。福音書とか書簡とかの文書研究の話はそれほど面白くなかった。
あと、当たり前だけど、その次代を生きていた布教者たちが「何」を考えていたのかがサッパリわからんのだよね。パウロはどーしてそんなに頑張ったん? みたいな。たかが一回の奇跡で、果たしてそんなに確信など持てるものなのかどうか。宗教的な確信のために人生をかける人の気持ちは、私には分からない。

というか本当に、イエスほぼ何もしてないというか、役に立ってないという感じなんだなと思った…。
キリスト教の幼年期、というよりは、「新興カルトが世界宗教になるまで。」みたいな感じで読んだほうが楽しかったかもしれない。