竪穴式住居が涼しすぎた。真夏に考える「定住条件」とは

竪穴式住居というのは、こういうやつである。
みんなきっと教科書とかで見たことあるはずだよね。

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密を避けるため人のいない観光地を探した結果、灼熱の炎天下の下、これを見学にいってきました・・・・・・・


結果: たしかに人はいなかった

だがクッッッソ暑い


いや、なんていうか、屋外展示場なんで暑すぎるよ?! 当たり前だけど世界観重視なのでそのへんに自販機とかもないしね???
死ぬわこれ…と思った時、ふと入った復元住居の中が、めちゃくちゃ涼しいことに気づいてしまったのです。それもクーラーかかってるかと思うくらいの涼しさ。なんだこれは。この家を作った人は天才か。

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というわけで、涼みながらじっくり作りを見学し、パンフなどを読んでいたわけですが、作り方を考えているうちに悟りました…そう、この家、実はものすごくハイテクな文化の結晶体だったのです。


●竪穴式住居を作るのに必要な手順を考えてみよう!

さてここで問題、この家を建てるのに必要な道具とは何か。
竪穴式というからには床を掘り下げるわけで、当然、掘る道具は必要ですね。土を運び出す道具も。
木の柱をたてるので木を切る道具。それから木を組み合わせるのに縛る縄。茅葺き屋根に泥を塗るので茅を伐る道具に泥を作る土器。
実は前提となる必要道具がとても多い!

もし仮に何も道具がない状態である場所に移動し、新しく家を建てる場合に、まずどういう手順で材料を揃えればいいかを検討してみます。


1)石器を作れる石を探す
2)石器を作る
  →茅を刈る鎌
  →木を伐採する斧
  →土を掘るシャベル(硬い木で作っても可)

3)ザル状のものを作れる植物を探し、2)で作った鎌で刈る
4)ザルか籠のようなものを作る

5)住居の場所を決め2)で作ったシャベルで穴を掘る
6)4)で作ったザルで土を運び出す

7)2)で作った斧で柱や梁にする木を斬る
8)丈夫な縄を作る。

 農耕が始まっている場合→藁縄が使える
 農耕がまだで温暖な気候の場合→つる植物など
 農耕がまだで寒冷な気候の場合→獣の皮など

9)中心となる柱を立て、8)で作った縄で縛る
10)柱を梁で補強し、屋根の形を作る

11)2)で作った鎌で茅を伐って屋根に乗せる
12)土器か袋、ないし桶を作る
13)土を掘って水と混ぜ合わせ、12)で作った容器で運んで屋根や壁に塗りつける。

 ↓ ↓ ↓

 完 成


…このくらいの手順は必要なわけで、つまり道具めっちゃめちゃ必要。まず石器作る石って何よ? どこにあんの? からです。
シンプルに見えて、実は竪穴式住居には当時の最新テクノロジーが凝縮されていたことがわかります。文化レベル上げないと作れないのです。


●住居はどのくらい快適だったのか

竪穴式住居が作られ始めたのは縄文時代くらいから。当時は現在より暑いです。氷河が溶け、現代の日本の沿岸部はほとんど海の中でした。
ですがそんな暑い時代でも住居の中はめっちゃ涼しい。復元住居に入って思いました。ほんとマジめっちゃ涼しくて快適…ご先祖生き残れた理由判る…。

最近は、竪穴式住居の屋根が泥塗装されていたのでは、という説が主流らしいですが、泥の厚さ薄めの復元住居だとぜんぜん熱がこもる感じは無かった。たぶん床を掘り下げて一部が土壁みたいになってるのと、天井部分が高くて熱が伝わってこないのも大きい。
というか日本は雨の多い国なので、おそらく土盛りの屋根を作っても梅雨時にはほとんど流れてたんじゃないかと思います。そうすると梅雨明けは土が乗ってない茅葺き状態の夏スタイルからスタート出来る。


●困難を乗り越えた定住条件とは

というわけで、住居を作るのに必要な道具とか考えてきたわけですが、手間のかかる住居を作る=定住するにあたっては、前提となる道具の開発が重要で、文化レベルがある程度上がらないとムリというのは確実です。
そしてさらに、

 ・それらの道具を手に入れられる、作れる材料があること。
 ・技術を継承する人材が揃っていること。
 ・定住に適した丘などの場所があること。
 ・継続して居住できる環境(食料が手に入る、など)があること。

といった条件も必要になってきます。ハードルが高い…!

特に道具の材料のうち、石器づくりに適した石材の入手はかなり難しかったんじゃないかと思うのです。日本は火山国とはいえ、火山のある場所って限られますからね。黒曜石などは採れる場所がかなり限られます。交易で手に入れる場合は、交易品を作るという手間も増えるので、これまた大変。なんもないゼロから定住への道は果てしなく険しい。ご先祖様たち頑張った。

そして拓かれたムラが拡大していった先に、弥生時代の王権やクニの概念があるわけですね。歴史へと至る道は…長い…。



それはそうと、屋外展示場はほんと暑かった…。
今より暑かった時代とかマジ想像つかねっすわ…。