サウジアラビアの謎の「地上絵」のうち、長方形のものについて続報が出たぞ! というわけで

まずは前回の記事のおさらいから。

サウジアラビアの「謎の地上絵」、その後の続報もないのでまとめておくことにした
https://55096962.at.webry.info/202006/article_14.html

この時点では「長方形」のものは上空から見ると門のように見えるため「ゲート」の通称で呼ばれることもあったのだが、その後、アラビア語で長方形を意味する「ムスタティル」Mustatils مستطيل が正式名称となった。学術的な研究を追うのであれば、この用語で探そう。


で、今回出てきた論文がこちら。

The mustatils: cult and monumentality in Neolithic north-western Arabia
https://www.cambridge.org/core/journals/antiquity/article/mustatils-cult-and-monumentality-in-neolithic-northwestern-arabia/80E2AD8B538C268E7CA5C3C29CB4EC52

これらの構造体のある場所

msp.png

map2.png

ランドサットで1000以上が発見され、さらに地上踏破でも数百見つかっているとんでもない量なので、えー…なかなか調べるのも大変だと思う。何しろ現在では沙漠のド真ん中だし。しかし、どうやらこれらの遺跡は、かつてこの地が現在よりも緑に恵まれていた時代に作られたものらしい。構造体の中からは、牛やヤギをはじめとする、多くの家畜たちの骨が見つかったというのだ。

さらに、上空から見えるシンプルな長方形の構造とはうらはらに、地上に降りて調べてみると、けっこう複雑でガッツリした壁が築かれていることが分かる。複合体と呼ぶべき付随構造を持つものも多いようだ。

img.jpg

作られているのはカンブリア紀に噴火した火山の跡など古い火山地形で、石も周囲から持ってきて積み上げたものなので、一つを作るにそれほど労力はかからないだろう。しかしこれだけ大量の数、となると…。
しかも構造体の中から発見された家畜の骨などの分析から、どうも時代が6,500年前くらいまで遡りそうなのである。

そんな時代に、千をゆうに超える数の長方形を築き続けた理由とは一体。


他の記事では「牛崇拝の宗教目的だったのでは?」と書かれているものがあったのだが、これは構造体の中からたくさんの牛の骨や角が出ていることからのようだ。ただ、元論文のニュアンスだと、調査した人たちは「通年ではないかもしれないがここに居住したはず」と考えていて、「人骨は見つかっていないけど埋葬の儀式とも関連がありそう」と書かれていた。要するに今はまだ、これが何のために作られたものなのか、確定はしていないのだ。

Mysterious 7,000-year-old stone structures may be part of prehistoric cattle cult
https://www.livescience.com/stone-structures-in-arabia-prehistoric-cattle-cult.html

78.PNG

写真集
https://www.livescience.com/60697-photos-stone-structures-saudi-arabia.html

ただし、ここが家畜小屋であった可能性はない、という。
家畜を捕獲しておけるほどの壁の高さなどがないそうだ。となると猶更よく判らず、わざわざここで屠畜するのもよく判らない…



 結論: なにも わからん



この謎具合が新しく発見された古代文明って感じでいいよね。これから続報が続いていくのをひたすら正座待機ですよ。
あと、長方形以外の「謎の地上絵」についてはまた別で研究/整理されているようです。

今後の楽しみがまた一つ。