ラグナロク回避のためか。ヴァイキングが火山に作った船型の祭壇跡のひみつ

つい先日、アイスランドで火山の噴火が始まったニュースが流れていた。
報道はされていないが今も噴火は継続中で、継続的に溶岩が流れ出している。今のご時世ならではというか、現地で実況してる人とかドローン飛ばしてる人とかもいるので、気になる人は探してみよう。

さて、そんな火山に関連する遺跡の話だ。
スルツヘリル(多分「スルトの国」あたりの意味になると思う)という溶岩洞窟の奥に、ヴァイキングたちが溶岩で作り上げた舟の形の祭壇が見つかったという。そこでは動物を燃やした跡があり、おそらく犠牲のための供物だという。

Vikings created a massive boat in this volcanic cave to ward off the apocalypse
https://www.livescience.com/viking-boat-structure-ragnarok.html

f.PNG

元論文
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0305440320302363

スルツヘリルの場所は、アイスランド西部、ボルガルネスの集落から60kmほど。
奥行きが1600mもあり、アイスランド最大の洞窟で奥の方は真っ暗。ジュール・ヴェルヌの世界。

この火山が噴火したのはおそらくヴァイキングたちが島に移住してきた直後で、移住者たちに衝撃を与えたはずだという。
また祭壇は噴火の直後に作られて使われはじめており、炎の巨人スルトによる襲撃、神々の世界の終焉ラグナロクといった、彼らの神話世界と関連していた可能性がある。神話の世界観と、実際の歴史的な事件/地理条件が重なるスポットというわけだ。


Surtshellir2.jpg

Stefanshellir_lava_tube.jpg


現場では、トルコで採れる鉱物性の塗料や、イラン製ビーズなど、貴重な東方の品も見つかっているという。
動物の犠牲と捧げもの。この場所での祭儀にどのような意味があったかは分からないが、ラグナロクを回避するためか、あるいはラグナロク時にスルトと戦う予定になっている神々の力を少しでも増すためのものだったのでは、と推測されている。

北欧神話のラグロナクについての描写部分は本国ノルウェーではなくアイスランドで作られたのでは、という説は昔からあるが、これもまた、その説を強化する一つの発見になりそうだなと思う。


なお、この祭壇はアイスランドのヴァイキングたちがキリスト教に改宗したあと放棄されたという。
キリスト教にも世界の終末思想はあるから置き換えは可能だったんだろうか…。


エッダ―古代北欧歌謡集 - 谷口 幸男
エッダ―古代北欧歌謡集 - 谷口 幸男

(R.I.P 谷口先生)