もしかして: 貿易港ベレニケ、紀元前3世紀に一時的に放棄されたのは井戸水が枯れたからでは説

エジプトのナイル川沿岸以外の街は、井戸水が枯れたらおしまいなんである。

ナイルはそう簡単には干上がらないしそもそも流量も多いのだが、他のナイルに面していない諸都市は地下水頼りである。井戸水汲み上げるか、オアシスから水を引くしかない。雨が降らなくて川沿い以外は沙漠しかないからだ。
それは紅海沿岸の街でも同じ。

その紅海沿岸の貿易港ベレニケで、一時的に放棄されていた時期があるのは井戸水が枯れていたからでは、という説が出て来た。

Volcanic eruption may have forced ancient Egyptians to abandon a city
https://www.newscientist.com/article/2271871-volcanic-eruption-may-have-forced-ancient-egyptians-to-abandon-a-city/#ixzz6qh5A0SX8

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時期は紀元前220年から200年の間。
港が建設されたのは紀元前275年~260年頃とされているので、作られてから50年ほどしてすぐに一度、放棄されてしまったような形になる。これは、井戸の底にたまっていた砂から計測した年代だそうだ。
おそらくこの時期に何か気候変動があり、数年は旱魃が続いたのではないか、という。

で、なんで記事のタイトルに「火山噴火」と入っているかというと、その気候変動の原因が大規模な火山の噴火ではないかと考えられているからなのだ。
候補火山が4つ挙げられているのだが、何故か日本の火山が2つも入っているw

Popocatéptl in Mexico, Pelée on the island of Martinique in the Lesser Antilles, Tsurumi or Hakusan, both of which are in Japan.

メキシコのポポカテペトル、小アンティル諸島のマルティニーク島、日本の鶴見もしくは白山。

気象庁のデータベースでちょっと探してみた。
鶴見山
https://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/fukuoka/513_Tsurumidake_Garandake/513_index.html

白山
https://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/313_Hakusan/313_index.html

世界の火山で紀元前のそのあたりで噴火してそうな山、かつ緯度がベレニケに近いところを選んでいるっぽく見えるのだが、ぶっちゃけなぜこの二つの山がピツクアップされているのかはよく分からなかった。日本の火山で大規模な噴火してるのなら、だいたいどれでもいけるのでは…という気はしなくもない。日本火山めっちゃ多いからなあ。


あと、もう少しあとの時代で、別の火山の活動が原因でプトレマイオス朝が衰退したのでは、という説もある。

地学×考古学 エジプト・プトレマイオス朝はアラスカの火山噴火で衰退したか
https://55096962.at.webry.info/202006/article_20.html

なんだか最近、プトレマイオス朝が火山の噴火で衰退させられまくってるような気がするのは、きっと気のせいじゃないと思う。火山がトレンドなんかな…? ていうか、いくらナイル頼りとはいえ、そんなにスパンの短い気候変動の影響が出るくらいの大規模な噴火があったら、まず間違いなく他の文明にも影響してると思うんだが。


原因はともあれ、「井戸水が枯れたから放棄」までであれば、十分あり得る話だと思う。
というか、そうするほかに道はないので。水が枯れたら住めない。エジプトの沙漠の街はすべてそうなのだ…。


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あとそういやベレニケで発見された中王国時代のレリーフってどうなったんだっけな。
続報を見た記憶がない…
https://english.ahram.org.eg/NewsContent/9/40/135962/Heritage/Ancient-Egypt/Two-engraved-reliefs-unearthed-on-Red-Sea-coastlin.aspx