イスラエル海岸線から古代の大津波の痕跡が見つかる。もしかして湾岸の遺跡は津波で一掃されたかも?

tunamiは日本語から英語に借用され、今や世界中で通じる単語の一つである。
なので「Paleo-Tsunami」はそのまんま「古代の津波」と読んでいい。いきなり日本語入るとちょっと「ん??」ってなるけどね。

Evidence For A Massive Paleo-Tsunami At Ancient Tel Dor, Israel
https://archaeologynewsnetwork.blogspot.com/2020/12/evidence-for-massive-paleo-tsunami-at.html

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今回の研究は、Ter Dor(テル・ドール)と呼ばれている遺跡の近くで行われたボーリング調査の結果から。東地中海では津波自体は珍しくない。つい先日もトルコ沿岸に大規模な津波が押し寄せてニュースになっていたくらいだ。この調査で出されている今までの調査結果サマリーの地図でも、津波の痕跡が見つかっている★印は沢山ある。

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だが、今回見つかった津波の痕跡は、とても大きなものだったようだ。
かつて湿地帯だったあたりに海の貝が堆積している場所が見つかっており、海底から押し上げる強い津波が内陸まで到達していたことを示しているという。計算では9,910年~9,290年前、内陸の1.5~3.5kmの距離まで侵入し、沿岸の波の高さは16~40mであったと推定されるという。これは、東日本大震災の時に福島を襲った津波の大きさと同等である。そう考えると、威力のすさまじさは想像に難くない。

また、なぜ堆積物から津波が来たことが分かるのかについても、東日本大震災の時の津波の記憶が役に立つ。
津波で押し寄せた真っ黒な水を分析したところ、中に含まれていたのは巻きあげられた海底のヘドロだった、という報告があるのだ。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/shinsai8portal/kuroinami/

海底のヘドロと一緒に、海の底に住む生き物が巻き上げられて内陸まで届いていれば、それは単なる高潮では無く津波によるものだった可能性が高くなる。


そして気になったのは、この地域のこれまでの調査では、津波が起きたとされる時代の低地の沿岸集落がほとんど存在しないということ。これは、人が住んでいなかったわけではなく、実際には津波で一掃されて消えてしまった可能性が出て来たのだ。
東日本大震災の津波のあと、何もなくなった街の風景を思い出してみるといい。
現代の、鉄筋造りの多い集落でさえあの状態になる規模の津波が、古代の集落を襲っていたとしたら…。

もちろん人はほとんど逃れられないだろうし、建物の跡は縦穴だろうが道具だろうが片っ端から流されてしまう。そして地面も塩水を被って液状化や塩害化の被害を被るので、時間が経過するまで人は戻って来られない。
また、この推測は、これまで遺跡の見つかっていなかった海岸線が、実際には痕跡が無いだけで人がいたことがある可能性も示唆していると思う。消えてしまってれば分からないのだから。


東地中海の断層や、地震・津波の過去の発生状況は、あまり研究が進んでおらず、日本ほど予測の精度も高くないと聞く。
このあたりも研究はこれからなんだろうなーと思いながら、今後の展開を見守っていきたい。