インダス文明の人たちは何を食べていたか。壷の中身から調べる研究

似たような研究で、古代人の骨に残された歯石(歯にくっついている食べ物のカス)から古代人が何食べてたかを調べるのを見た覚えがあるんだけど、今回は壺の中にうっすら残ってる有機物から、どんな食べ物を壷に入れてたかを探る試み。最近出て来た、壺の中に残る僅かな有機物でも分析できるようになったという研究と関連していると思う。

What’s cooking? Analysis of fatty residues on ancient pottery sheds light on food habits of Indus Civilisation
https://www.arch.cam.ac.uk/news/whats-cooking-analysis-fatty-residues-ancient-pottery-sheds-light-food-habits-indus

元論文
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0305440320302120

zap.PNG

この研究では、初回から何かすごい結果が出たというよりは、こんなことも出来るようになりました、これからデータ集めていきます、という前振り的な内容になっている。

調べたいものは、田舎と都市部で土器の使い方に差があったのか。
また、盛期ハラッパー文化から後期ハラッパー文化に移行する場合に差があるのか、特に4,200年前の気候変動イベントによる影響がどのように出るのか、という部分だという。

まだ研究は始まったばかりのようだが、いくつか面白いことが判っている。遺跡からは沢山の反芻動物の骨などが見つかっているのに、実際に壺の中から見つかったのはそれ以外のものが多く、牛を飼ってたのに牛の乳をあまり利用しなかったのか?という疑問など。
メッシュ状の土器が出て来ればそれは乳製品を作る時に使われたものと解釈されることが多いかと思うのだが、これ本当に乳製品用なのか、それとも穀物のふるいなどに使ってたのか実はよくわかってない。というか、もしこれから植物性の油脂が多く見つかるなら、おそらくビールや濁り酒の沈殿物用と解釈したほうがいいだろう。

1-s2.0-S0305440320302120-gr2_lrg.jpg

動物性油脂と植物性の成分がごっちゃになって検出されて分かりづらい、土壌の影響で残存物が検出しづらい、などだいぶ苦戦しているようなのだが、面白そうな研究なのでぜひ頑張ってもらいたい…。


****
あと、最近のインダス文明研究の内容としては、このへんが分かりやすくて一般向け。
インダス文明についてのイメージは、ここ最近の研究で数十年前とはだいぶ変わっている。(アーリア人の侵入説は既に古いとか、そもそも河川文明じゃなかったとか、衰退はしたけど劇的な滅亡はしなかったとか。)

インダス文明の謎: 古代文明神話を見直す (学術選書) - 長田 俊樹
インダス文明の謎: 古代文明神話を見直す (学術選書) - 長田 俊樹