エジプトにも地震はたまに来る。そしてピラミッド表面の石が無くなっているのも地震が原因の可能性があるという話

ギリシャとトルコの間で地震が起き、えっこんなとこ地震起きるの…みたいな世間の反応に、あるよ!! めっちゃあるよ!!! アナトリア半島は黒曜石の宝庫だぞどこから来たと思ってるんだ?! みたいな感じになった中の人です面倒くさいな
東地中海は火山の宝庫。こないだ噴火してたストロンボリもそうだし、サントリーニ島もあるんですよ!

東地中海の断層については、ちょっと古いけどこんな資料もある。

北アナトリア断層(トルコ)東部地域の地震断層について
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jgeography1889/93/2/93_2_77/_pdf

da.PNG

今回の地震はモロにこの断層の上で起きているので、特に不思議な話ではない。
過去にもこの辺りで何度も大地震が起こっており、そのたびに津波は発生してきた。歴史記録として残る大津波の一つには、たとえば、エジプトのアレキサンドリアを壊滅させた4世紀のものがある。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/5759/

また、断層の直上ではないものの、エジプトでも地震は発生している。
計算すると、100年に一回くらいは大きな地震を食らっていることになる。

エジプトさんたまに地震来るけど、ピラミッド建設中に地震は来なかったのか
https://55096962.at.webry.info/201907/article_22.html

これがピラミッドや神殿を壊した可能性は大いにあり、たとえば、最近まで修復していた階段ピラミッドは、1992年の地震でダメージを受け、崩落の危機があることから修復が行われていた。

エジプト最古のピラミッド、階段ピラミッドの修復終わったらしいわよー! なお
https://55096962.at.webry.info/201904/article_14.html

さて、ここから出て来る当然の話として、「過去にも地震でピラミッドが崩れたことがあるのでは?」という説がある。
地震が過去にも来ていたことは確実だ。そして、実際にクフ王の大ピラミッドのてっぺんに乗っていたキャップストーンと呼ばれる部分は、下に転がり落ちた状態で発見されている。上に登ってわざわざ落とすなんてことはしないだろうし、まとまって落ちていたからには事故で転がり落ちた可能性のほうが高そうなのだ。

pyramidion2.jpg

ピラミッドの表面には、仕上げのために上質な白い石が使われていたという。
かつては、この石を目当てに後世の人がひっぺがして再利用したのだと説明されることが多かったが、実際には「わざわざ高いところまで登って引っぺがすのはめっちゃ面倒」ということが判ってきて、引っぺがしたのはごく一部、かつ、既に剥がれて転がり落ちていたものを再利用しただけだろう、という見方が出て来ている。

たとえば、温度差によって石が剥離したのではないかという説だ。(当時は新説だったが、これも既に少し古くなっている)

ピラミッドの化粧石は温度差で剥離した? ピラミッド表層崩壊の新説
https://55096962.at.webry.info/201305/article_14.html

小型ピラミッドの石と、ピラミッド周辺の河岸神殿については、実際にカイロの町に転用されている。小型のピラミッドであれば、表面から石を剥がすのも簡単だ。しかし巨大な、聳え立つ大ピラミッドにまでわざわざ登るかというと…。うん、まあ、登らんよなぁ。ていうか、登って作業するための足場とか作る手間が面倒すぎて、普通に採石場で石切り出したほうが早いレベル。
地震で石が緩んでいるところをつついて落とすとか、既に落ちているものを拾って使ったと考えるほうが妥当。

そして地震の影響を考えるなら、古代に作られた神殿の大半が倒壊していることも説明できるのだ。

古代エジプトでは、地震は大地そのものでもある大地の神ゲブが笑って体をゆする時に起こると考えられていたという。
大地の神が大笑いする時、それは上に立つ人間と人間の文明が崩壊する時でもある。神々の祖である大地とは、まさに全ての始まりと終わりなる存在であったと言えるかもしれない。


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[>おまけ
ペルーも地震の多いところなので、遺跡には地震の損傷が見受けられる。
地震というと日本の独壇場みたいな感じだけれど、世界の他の地域でももちろん地震はあるんじゃよ。日本は地震が日常になりすぎてて珍しくもなんともないけど、逆に100年に1回くらいしか来ない地域のほうが、地震に対する恐怖やインパクトはデカいと思うんだ。

地質学×考古学 ペルーで起きた1450年の大地震の痕跡か、インカの建造物に残る
https://55096962.at.webry.info/201812/article_22.html