スーダンで2,000年前の遺跡がダイナミックに盗掘される。

お、おう…ここまでダイナミックなやつはエジプト革命のあとの不景気でギザ台地がブルドーザーで掘られてたのを見て以来だな?(※前例あり)
なんか最近、大規模な破壊行為を見慣れ過ぎてしまって、「あーうん、政治的な意図や悪意じゃなければまぁ、まだマシかな…」ってなってしまってる。ちなみに今回は失業している若者たちが金に困ってとりあえず金属探知機に引っかかったとこをゴリゴリ掘ったっていう案件です。しかたないよね背に腹は代えられないしね。

Sudan's Jabal Maragha: Illegal gold diggers destroy ancient site
https://www.bbc.com/news/world-africa-53889663

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この遺跡は、紀元前350年ごろから紀元後350年ごろにかけて使われた関所の跡だとのこと。
(メロエ時代なら紀元前300年からじゃないか? とも思うが、もしかしたらメロエの前の時代から使われていたのかもしれない)

掘った穴は深さ約17メートル、長さ20メートル。金属探知機の反応した場所を重機で掘ったそうで、遺跡はもちろん破壊されているし、石は適当に積み上げてごはん食べるところとして使われてしまったとか。あちゃー…って感じである。



遺跡の破壊は、もちろん、認められるものではない。
しかし、かつては欧米人が率先して盛んにやっていた。その結果が各地の博物館の豊富な収蔵品である。
ヌビア地域には多くのピラミッドがあるが、それらの多くは財宝を求めた探検家たちによって破壊されている。「そういう時代」があったのである。そして今は、遠くからやってきた探検家たちではなく、地元民がちょっとした小遣い稼ぎに遺跡を探る、「そういう時代」になったのだ。

「忘れられたヌビアの王国」―ヌビア黄金時代・メロエ王国の遺跡
https://55096962.at.webry.info/200901/article_26.html

記事の中で、遺跡を荒らした若者たちが特に罰も受けなかったことが批判されているけれど、なにしろ現地には遺跡の保護という概念がまだ育っていない。それは、良い品を奪うばかりで地元に知識や文化を還元しなかった、かつての盗掘者たちの母国にも大いに責任があると私は思う。何を他人行儀に上から目線で責めてるんです、そもそもあなたたち無関係じゃないですよね…?

そもそもヌビア地域のスーダン側の遺跡は、エジプト側に比べて不遇で、かつてダムで水没しようとしてた時すら保護や移設の費用がつかず、調査もあまりされなかった。
遺跡を保護しようにも予算がない。観光しに行こうにもスーダン行ったらアメリカ入国に制限がつくからなかなか行けない。理想と現実の間には、大きな隔たりがある。

この地域の抱える現実もよく判るのだ。
むかしNHKスペシャルでこの地域の特集をやっていたときに、苦労して見つけた小さな、ほんの小さな金の粒(日本円で6,000円)を手に入れて、満面の笑みになっていた人を見たことがあって、あの人たちのささやかな願いを思うと、この一件、ただ責めるだけで終わって欲しくないなぁと思うのだ。

※見たのはこの番組。ヌビアの特集としてはよくできていた

ハイビジョン特集「異端の王 ブラックファラオ」
https://55096962.at.webry.info/201105/article_27.html