お犬様と王。世界最古の愛犬家ファラオ、アンテフ2世をどうぞよろしくお願いいたし(

アンテフ(インテフ)二世は、第十一王朝の三人目の王様。
やたらと猫ばっかり取沙汰される古代エジプトにおいて、忘れてはいならない愛犬家の王様である。自分の飼っていた犬四匹を墓の入り口の自分の肖像の横に掘り込むくらい大好きだった。その肖像は、今はカイロ博物館で見ることが出来る。各イヌの特徴まできっちり描かれていて、なんとなく犬種の想像も出来る。ていうかこれ、足元だから、本来は自分の子供とか彫り込む箇所なんである。犬を家族扱い。よっぽど好きだったんだろうなぁ…。

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犬の横には名前が刻まれていて、一番上の一頭はベハといい、おそらくガゼルを意味する単語だろうと言われている。
次のはペクテス、テケル、アバケル(?)といい、二頭目のは身体の色から名付けられた、日本語でいう「クロ」という意味ではないかとされる。碑文によって「永遠」を与えられた、王の愛犬たちである。

古代エジプトでは、犬は王や貴族たちが愛犬として飼うもの以外に、おそらくは野良犬もいただろうとされる。
野良犬は人間も襲う。墓を荒らすこともある。アヌビス神のような神聖なものとして扱われると同時に、忌まわしく、死を意味するものでもある。
また、狂犬病の問題もある。狂犬病に関する呪文書が見つかっているのは末期王朝時代だが、おそらくはそれ以前から、「犬に噛まれると病気になる」ということは知られていたはずだ。日本における古代がそうだったように、エジプトでの犬たちにも、首輪をつけてお屋敷で飼われるものと、荒地をさ迷う恵まれない野良犬もいただろう。

人と犬の関わりの歴史は長い。
これは、紀元前2,000年ごろ、今から4,000年も昔の、人が犬を愛でたという確かな記録なのだ。