イスラエル/ケセム洞窟の謎の球状石器は、古代の缶切りとして使われた?

200万年前から存在し、その後、人類の拡散とともに世界各地で作られるようになったという謎の球体状の石器。そのうちの一部の正体が、分析と実験を経てついに明らかに。正体は、動物の骨を割って骨髄を取り出すための道具。
「この石器は、缶切りのようなものだ。」と学者は述べているが、それは骨髄が中の脂肪分をため込んだまま保存するのに適した食品だったから。つまり、骨=中身の骨髄を保存するための天然の缶詰、という比喩だ。


Mystery of 2 million-year-old stone balls solved
https://www.livescience.com/ancient-stone-balls-bone-marrow.html

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今回調査されたのはイスラエルのケセム洞窟から見つかった40万年~20万年前のもの。
このタイプの石器は割れやすいフリントではなく、丈夫な石で作られることが多いため、何か打撃系の作業に使っていただろうとは昔から推測されていた。

で今回は、石器に残っている摩耗痕(道具を使ったことで残る痕跡)や脂肪分から、骨を砕くのに使っていたことが示唆されたため、レプリカの石器を作って実際に試してみたところ、とても使いやすくて作業に適していたことが分かったというのだ。手にジャストフィット、固い骨を叩きまくってすり減っても、丸いのでぐるっと回して反対側を使えば大丈夫。おそらく古代人も同じようにして、欠けたら回して向きを変える、を繰り返してこの道具を使っていたのだろう。

なお、骨髄の保存性についてはこちらも参照。同じケセム洞窟の話。
現代でも骨髄は高カロリー食材の代名詞のような存在だが、骨のまま何カ月も保存できるので、優秀な保存食だったのだ。

先史時代の人類は「動物の骨髄」を保存食にしていた
https://gigazine.net/news/20191011-prehistoric-humans-bone-marrow-storage/




ただしこの石器、世界中で見つかる似たような石器の全てが同じ使われ方をしたのかどうかについては再検証が必要だと思う。
というのも、他の学者の説だと「この形状のものは投石器だ」というのもあるからだ。

Stone Age MISSILES: Early humans were able to hunt prey by throwing round rocks with impressive skill
https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3732832/Stone-age-missiles-prehistoric-hunters-planned-ahead-Throwing-rocks-effective-weapons-early-humans.html

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手にジャストフィットの大きさということは、もちろん野球ボールのように投げるにも適しているわけで、生きた動物に投げつけても表面に脂肪は残る。弓矢を発明するまでの間にスリングショットみたいな使い方をしてた可能性も否定は出来ない。同じような形状の石器でも、もしかしたら地域ごとに使い方は異なっていた可能性も無くはないだろう。

ここはいつもどおり、学者さんどうしに(理論で)殴り合って決めていただきます…!


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骨髄といえば、こちらも。

貝塚ならぬマンモス塚。北の人類、大地に獲物の骨の山を築く
https://55096962.at.webry.info/202003/article_18.html

これも、骨を砕いて中身を食べたあと油の残った骨を燃やしてたとすれば余すところなく利用出来てたことになる。
また、皮がついたままのほうが長持ちするということから、「骨が生物学的に正しい位置に並んで残っていた」というのもそういうことかもしれない。