争点はそこじゃない アマゾンで大規模火災が! →実は今までもめっちゃ火災発生してたよ…

ブラジルのアマゾンで大規模な火災が発生したということでニュースになっていたのだが、色々報道の仕方がマズいなと思ったので、ちょっとコメントしておこうかと思う。

【解説】 アマゾンの森林火災、どれくらいひどいのか
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-49443871

アマゾン森林火災、原因は「過剰な伐採」と専門家
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/082200484/?P=1

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【このニュースのポイント】

ブラジル・アマゾンで野焼きの火が暴走して森林火災になることは毎年の恒例行事
実は、件数的にも過去の火災発生数と大差ない
なので今年のケースだけが特異というわけではない。

真の問題は
このレベルの火災を毎年発生させ続けていたら、いつか森林が回復しなくなるのでは?
ということ

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リンクひとつめの記事にグラフが載っているのだが、このとおり、毎年のように大小さまざまな森林火災が何万件と発生している。
発生し続けているのにアマゾンが緑色なのは、ぶっちゃけ森林の再生力がめちゃくちゃ高いからである。アマゾンに冬がなく、木が年間通して成長し続けるので年輪が無いことは有名だと思う。なので森林火災が発生しても、そこの部分の緑が二度と戻らないかのような悲観論は排除してよい。

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ただし、これだけの件数の火災を発生させるがままにしているのは良いことではないし、もし今後も件数が増えていくようなことがあれば、いつか再生力と破壊力の均衡が崩れて破壊が上回ってしまうかもしれない。
これが「真の問題点」である。


ちなみにブラジルは、ちょうど去年訪れた国だ。アマゾンにもいった。そしてさも当たり前のことのように火災に遭遇した。中には道路沿いまで火が迫ってるようなところもあったり…なのに、現地の人や現地部族のガイドさんは平然としていた。そこで聞いた話は以下のようなものだった。

・放牧や畑作のために野焼きをするのはごく一部。草刈り面倒くさいという理由でもカジュアルに火を放つ
・火をかけているのに根っこが残っていてすぐ生えてくるから翌年も火をかける
・火を消さない。雨が降ると消える
・本当は勝手に野焼きするなと政府に言われているが、とくに取り締まりもないのでずっとやっている

火をかけたあとの森がどうなってるかというと、しばらくするとこんな感じ↓で水のあるところから木が勝手に生えてくるらしい。

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すっげえ草生えるから焼くんだけどまたすぐ生えてくるーというような話もしていて、いや、草刈りくらい普通にすれば…と思ったのだが、現地の部族の人は草刈りマシーンみたいな高級品は持ってないんである。金属製の鎌すら怪しい。クワや包丁は金属だし、金属製品が全然ないわけではないのだが、なんというか…植物の生長の早いアマゾンのジャングルの中でちまちま手で草刈りしますか? って言うと、たぶんその選択肢はないと思う。
火をかけたほうが圧倒的に楽なのだ。
そして、しばらくすれば雨が降って火が消えると思えば、火をかけてどこからどこまで燃やすか、など、厳格に管理するのも面倒なのだ。

そう、アマゾンの森林火災は、火を消すという概念が無いからこそ、毎年、何万件も発生しているのだ。雨季だし雨が降れば消える、と夏場に火をかけて、その年にたまたま雨が少なかったら火災が大規模化する。また、たまたま風向きが悪かったり、たまたま乾燥していたりすると想定より広い範囲が燃えてしまうかもしれない。

だから、アマゾンの火災の問題は、今回の一回限りのものではない。今までもずっとずーっと存在し続けていた。そして、「野焼き止めれば?」とかいう簡単な話でもない。それは当たり前のようにやってきた今までの生活を変更し、より面倒くさくて手間のかかる方法に変えろ、と言うのと同じことだからだ。

こんなの、他国が上から目線で地球規模の環境の話なんかしても解決するわけがない。



また、この野焼きの問題が今になって大々的なニュースになっているのには、政治的な意図もあると思う。

 ・政治の道具としてG7で言及するための前フリ
 ・環境保護団体が危機感をあおるため
 ・ブラジルのボルソナロ政権(右翼だとしてリベラル系メディアに嫌われている)を攻撃するため

BBCでこのニュースが流れたとき、グリーンピースの人がインタビューに答えていて、しかもひたすら政権を攻撃していたのでうさん臭さが倍増したのはもちろん、記事によっては正直に「ブラジルの大統領が開発を推奨しているから野焼きが頻繁に行われるのだ」として、ボルソナロ政権を批判するための道具として使っている。しかし森林火災の発生件数のグラフを見て分かるとおり、この政権になったから火災が増えたわけでは無い。今までも多い年はこんなもんだ。

本当にアマゾンの森林のことを思うのであれば、政治の道具や環境保護団体の資金集めのネタにするのではなく、もう少し現地住民の暮らしを見るべきだろう。アマゾンの奥地の人だって、明るく開けた場所の方が住みやすい。町に近いところに住んでる人たちは労力をかけずに草を無くしたい。森林を破壊する行為の全てが悪なわけではないだろう。野焼きの火も、コントール出来さえすればいい話である。問題なのは「再生力と破壊力の均衡が崩れて破壊が上回ってしまうこと」なので、アマゾンの回復力の限界を越えない程度の火であれば、森が更新されていくのでむしろ良い効果に繋がるかもしれない。

…とかいう現実的な選択肢を、この件を通じて特定の政権を批判したいだけの人や、危機感煽りたいだけの人は出してこないと思うんだよ…。


ちなみに、アマゾンの中でも「アマゾンの入り口」と呼ばれるマナウスから近いあたりに住んでいる現地住人は、観光ツアーなどで儲けているのかスマホ持ってたりテレビ持ってたりするし、家の屋根がトタンだったりする。ロライマ州のほうにいくと州都は普通に大都会で、うちの田舎の駅前なんかよりはるかに活気があった。
「アマゾン」だからといって、そこに住んでいる人たちは何も知らない未開人ばかりというわけではなく、当然、火を放っている人も未開の千住民ではないことは覚えておいてもいいかもしれない。無意識に上から目線で語ってしまわないためにも。

(よそに文句言う前に自国の森林率増やしなよフランスさん…)

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[>追加分

アマゾンが地球上の酸素の20%を生産しているというのは誤解。酸素のほとんどは海が来ているので呼吸に心配はない、という記事

Amazon Wildfires Are Horrifying, But They're Not Destroying Earth's Oxygen Supply
https://www.livescience.com/amazon-fires-are-not-depleting-earth-oxygen.html

↑上記と同じ内容を日本語でまとめた記事がこれ

「アマゾンは地球の酸素の20%を生産」は誤り
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/083000504/?P=1


なぜかアマゾンが燃えたら酸素が足りなくなるー とかいうデマが出回っていたので。
いやそんなわけない、人類がこんだけ増えて先史時代に比べて森林も減ってるのにぴんぴんしてるの何でだと思ってるんですか(笑

そもそも森林は、昼間光合成で出した酸素を夜間は自らの呼吸で消費するもの。森林が出す酸素は森林自身が消費者。
地上の森林をぜんぶ燃やしても別に酸素は足りなくならないし、二酸化炭素も微量しか増えない。

では温暖化ガスに対する森林の役目は何かというと、成長しながら幹の中に炭素をため込んでくれるということ。炭素を溜めた木をガンガン伐って燃やさずに海に沈めるとか泥に沈めるとかしていけば、二酸化炭素の元になる炭素量は減る。成長の止まった木は炭素を新たにため込むことが出来ない。


また、燃えているのは皆のイメージしている「アマゾンの原生林」ではない。
衛星写真で見た地図の北部の、火災の検知がほとんどない部分がアマゾン川だ。
https://www.businessinsider.jp/post-197114

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ちなみにマナウスは、アマゾンの入り口と言われる都市で、この町の目の前で大きな支流2本が交わって「アマゾン川」と呼ばれるようになる。そこから下流がいわゆる「アマゾン川」だ。ジャングル・ツアーの多くはこの町から出ており、中の人もここからツアーに出発した。多くの人がイメージしている「秘境・アマゾン」「貴重な動植物がいる」「未開部族がいる」アマゾンは、この写真の中で川の北側に位置する濃い緑色の部分で、つまり火災の被害にはあっていない。まあ当たり前というか、密林の中に畑なんて作れないし、牛も飼えないし、そもそも人いないから…。

燃えているのは、アマゾンの端の比較的人が住んでいるあたり。
だから問題がない、と言うつもりはないが、イメージされているアマゾンと実際に燃えているアマゾンは場所が違うぞ、という話である。

もちろん、今後、開発が進んで未開の原生林部分にも火の手が及ぶ可能性はあるわけで、であれば絶対に残さなければならない部分は国立公園化するなど野焼きを厳密に禁止するようにすればいいと思う。野焼きの全てを禁止するのは現地の人の生活からしても、取り締まり面積の広さからしても現実的ではない。


先住民も長年アマゾンを焼いてきた、今との違いは
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/091000527/

ようやく出て来たまともな研究。先住民は長年、森を焼いてきたし、それは森と付き合うために必要だったという話。
大規模に燃やすのは彼らのやり方ともちろん違うが、頭ごなしに全ての野焼きを規制しようとするのは現実的ではないし、かえって森を殺すことにもなりかねない、ということ。まあそうでしょうね、という感じ。