日本の弓と西洋(イギリス)の弓の違い

ナショジオチャンネルでやっていた「武士道と弓」。
以前このシリーズの「武士道と日本刀」も見ていて、面白さの上では製造過程が複雑なぶん日本刀のほうが上だと思ったが、二番組続けて見ると成る程と思い当たるところがあった。

かつて武士が使った刀や弓といった道具は、ただの「武器」ではなかった。宗教的な儀式に使われる神器でもあり、己の精神を映し出すものとされた。ゆえに、日本では、武器には殺傷能力だけではなく見た目の美しさも求められたのである。しかもそれは機能美であった。

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おそらく、世界中を見渡せば、武器に同様の信仰的な意味を持たせた地域は他にもあるだろう。これは日本だけの特色ではない。にもかかわらず日本は、「ヨーロッパ」と比較させるに相応しい異国として取り上げられ、ロング・ボウやバスタード・ソードとの比較検証を行われ、その違いをつぶさに研究され続けている。それは日本が、豊富な資料によって古来から武器に対する信仰を持ち続けていたことを証明でき、しかも現代もまだその信仰が続いており、数々の匠や名人たちが己の口から生きた言葉で武器に秘められた意図を「ヨーロッパ」に向けて発信できるという、稀有な地域だからであろう。また理由の一つには、「ヨーロッパ」から見た”東の果ての神秘なる国”へのオリエンタルな憧れに対するニーズも含まれているかもしれない。

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本当を言えば、日本人からすると、美しい日本刀や見事な長弓を、ぶん回すだけの鉄の塊に過ぎない剣や、クランクイン・クロスボウみたいな殺すことしか考えてない不恰好な武器と比べられるのは、やや心外でもある。^^;

ていうか本当は比較するもんじゃないよなこれ。日本の刀や弓は名人と組み合わせて初めて意味を成すものかと。西洋式の剣や弓は、一般雑兵でも簡単に扱えることを目的として作ったもので、そら誰が使っても大した違いはないと思うけど、日本の武器は基本的に限られた身分の人が専門職として扱うことを前提にして作られてるわけで…。長弓を大して巧くなさそうなそのへんのにーちゃんが使って貫通力の測定すんのも、おかしいと思ってしまう。長弓は相応な腕前がないと本来の威力は発揮しないような。
とか、そんなにことを考えてしまうあたりが、武器に信仰的な意味を持たせている証拠なのかもしれないけれど。





さて、西洋式の弓(ロング・ボウ)と日本の弓の違いである。
まず持ち手の位置が違う。西洋式の弓はちょうど真ん中、日本の長弓は下から1/3の位置にある。この位置なのは矢を射った反動で弓が戻るときの衝撃を小さくするためだそうだ。
弓の形が異なるため、矢の描く射形も異なる。ロング・ボウの屋は人差し指のあたりから発射され、左右にふれながら飛ぶ。長弓は親指の上辺りから発射され、矢自体が弓に押し付けられながら飛び出すため真っ直ぐにブレずに飛ぶ。

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矢の持つ威力はほぼ同等だと番組内で紹介されていたが、たぶんホンモノの名人が使ったら破壊力は長弓のほうが上だと思う…。矢自体も長弓で扱われるもののほうが長く、ブレが少ないぶん的に命中させやすい。ただし、引くのにロング・ボウよりも力がいる。

素材の違いもある。西洋弓はすべて木で出来ている。
エジプトでは、ヒッタイト人が戦車の上で扱った合板製の弓が入ってくると弓の威力が飛躍的に上がったが、ロング・ボウなどは一本の木から出来ていて、合板性ではない。
日本の弓は竹を張り合わせて作ってある。もちろん材質の柔軟性は矢の威力にも影響する。

少し消化不良だったのは、材質の違いの部分で、ロング・ボウ側に使われていた木材の強度について言及がなかったところか。よくあったのは、イチジクか、トネリコか…。竹と比べてどうなのか、とか、流してくれれば良かったかもしれない。