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zoom RSS キリスト教に転用されたかもしれない古代エジプトの象徴/セト神と聖ゲオルギウス

<<   作成日時 : 2009/06/28 13:10   >>

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聖ゲオルギウスとは、キリスト教の聖人で竜退治で知られる人。
伝承のバリエーションや歴史的モデルの有無については色々あるので適当に検索してください…。

さてこの聖人の中ではわりと有名どころなゲオルギウスさん。その竜退治の姿は定番シンボルとして人気があったわけですが、なんと神殿の壁に描かれた、セト神のアポビス退治のポーズを真似したものかもしれないという説があるわけですよ。


セト神というと、こういうのが↓有名ですが

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カルガ・オアシスのヒビス神殿では、槍を構えて恐ろしい蛇アポピスを退治する姿で描かれます。

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やたらと男前な神様になってます

広がる守護の翼。雄雄しく蛇をふんづけ槍を振りかざす姿は、まさに人類の守護神。
卑怯な手段で兄を殺して王位を簒奪したり、レタス貪り食ったり、甥っ子を押し倒そうとしたりする神様には全然見えません!


ちなみにオールド・カイロにあるコプト教寺院前の聖ゲオルギウスさんがこれ。

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蛇→竜に置き換えると、確かに似てます。

で、これがまともに研究論文も出ている説で、エジプトで初期キリスト教が発達しつつあった頃、迫害を逃れて厳しい環境に囲まれたオアシスに逃れた集団が、そこで神殿の壁に刻まれたカッコいいセト神を見て影響を受けたんじゃないかということが論じられているようです。イシスに抱かれた幼いホルスの像が聖母マリアとイエスの姿になって取り込まれている可能性があったり、オシリスの復活がイエスの復活伝説の再構築に役立っているかも、といった説もありますが、エジプトからキリスト教へのシンボリズムの影響は、なかなか奥深いです。セトが善役で取り込まれている可能性があるというのは、セトが徹底的に憎まれ役を演じるオシリス神話に馴染んでる人からすると意外な話なんじゃないでしょうか。

(※教義そのものに影響を受けたのではなく、キリスト教「美術」への影響と言うべきか。古代エジプト宗教が神殿や記念碑の絵で見る者を圧倒しようとしたように、キリスト教美術も信者の感性に訴える戦略を取っている)


セトは元々、悪役の神ではなかったようです。

古い時代の神話ほどセトが重要視されており、ホルスと同等の役目を持つこともありました。ヒビスをはじめとする砂漠の僻地では、セト神その初期の雰囲気が残っているので、砂漠を越えて飛び地に伝わった時点では、オシリス・ホルス親子との王権争いに関する神話がまだ形成されていなかったか、されていたけどセトが一方的に悪役として描かれていなかったと考えられます。そして、緑豊かなナイルの下流はデルタ地帯で、セトが悪役としていつしか忌避されるようになってしまった時代になっても、以前と変わらないまま敵を打ち倒す強い守護者として崇められ続けていたんだろうと。

カルガ・オアシスの神殿自体は末期王朝に建てられたもので、その頃は既に、王が儀式でセトの身代わりのメバを打ち殺す儀式なんかもやってたわけですが、その同じ時代に、砂漠の村々ではやっぱりセトが主神扱いだったんですね。
まさに「砂漠の主」。
オシリスの守護する黒い大地を離れ、厳しい環境で生きる人々にとっては、赤い大地の主が必要だったということか。


  まとめると、 グレる前のセトは男前。

西方オアシスのセトは… きっと若いんだな…。



*僻地のセト神殿関連のレポートいろいろ
ムウト・エル・カアブ

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