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zoom RSS キリストの奇蹟がスイカに宿る…外来神話のローカライズ

<<   作成日時 : 2018/06/28 00:10   >>

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こないだ読んでいた「海のキリスト教」に、面白い記述があった。パプワニューギニアで1960年代から70年代に起きた聖霊運動、現地の人が「霊的な体験をした」と主張したその運動の中で、新約聖書の中の物語が現地の伝承としてローカライズされていく過程である。

その最も特徴的なものが、「布教(「霊的な体験」を伝えにいく)の最中にお弁当のスイカ1個を10人で分け合ったが、みんな腹が満ちてしまった」という話。これは有名な、キリストがパン5個と魚2匹とで説教を聞きに集まった大勢の腹を満たした話の再現である。パンと魚がスイカにチェンジ。これがパプワニューギニアだ。

実はこのテの、流入した外国のエピソードが地元に判りやすくマイナーチェンジして、さも昔から知られていたかのように語られるケースは珍しくない。以前紹介した、「太陽の娘として生まれた神の子イエス」の話なんかもその一つである。神話伝承は、あんがい適応力が高い。口伝とは、その時代ごとにいくらでも変化していくことのできる物語なのである。


ところで、そうなると問題になってくるのは、口伝しか持たない部族の伝承を聞き取り調査した場合に、その物語のどこまでが昔からあったものなのか ということだ。

世界中のどこであれ、ほかの文化圏から完全に切り離された場所はもはや地球上にはないといっていい。新たに持ち込まれた物語が定着するには、数十年あれば足りる。百年もあれば完全に地元の物語として解釈されなおしてしまう。つまり、口伝を聞き取りしたとしても、「今」聞いた話ならそれは最近出来上がったものである可能性が高い。(もちろん語り手はその物語がいつから知られているかなど分からない)

要するに、口伝から過去を再現することは無理ということだ。南海の島でさえ外来の伝承と混じってしまっているという事実がそれを裏づけている。そして、これは今に始まったことでは無い。数百年前でさえ、人間は船で世界中を旅していたのだから。

地球上の離れたどこかとどこかで似た内容の神話があったとしても、それは離れた地域どうしの古くからのつながりを意味するわけではない。このことを意識しておくといいと思う。

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