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zoom RSS ヨーロッパ版ゴッドハンド事件…人類の発展と世界進出に関する論文に纏わる疑惑が盗難事件に発展

<<   作成日時 : 2018/01/21 00:10   >>

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これは久々にやらかした系の論文捏造事件かもしれない。

人類が北ヨーロッパに進出した年代を書き換えようとしていた論文が疑わしいという話から、なんと証拠に使われた骨が盗難品だったことが判明して論文捏造だけじゃなく窃盗事件になってきた。

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*一枚目が盗難前、2枚目が盗難後

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【事件のあらすじ】

既存説では人類(現生人類ではない)が北ヨーロッパに出現するのは50万年前以降で、いたとしてもごく稀で、まとまって定住はしていなかったはず、とされていた。
しかし、100万年前ごろから北ヨーロッパに人類(ホミニン)が進出していたはず、という論文も何本か出されていた。内容としては、古い人骨が出てきたわけではなく、人為的に傷つけられた動物の骨が発見されたというもので、「人間が道具を使ってエモノを捕らえていた証拠」とされてきた。それらの論文で骨についた傷は人為的なものとは見なされず内容が疑われていたのだが、最近になってさらに、証拠として使われている動物の骨がどうやら盗難物らしいと判明。

疑われている論文は以下の3本。そのうち、2016年の発表に使われていた古代の鹿の骨は、2009年にドイツの発掘現場で盗難されたもの(発掘後、数日で盗難)とほぼ確定された。

2013年
Garcia, J., Landeck, G., Martínez, K. & Carbonell, E. Quat. Int. 316, 73–93 (2013).

2016年
Landeck, G. & Garriga, J. G. J. Hum. Evol. 94, 53–71 (2016).

2017年
Landeck, G. & Garriga, J. G. Quat. Int. 436, 138–161 (2017).

また、論文の記述者が使った証拠の出所をはっきり答えられないなど、疑惑は"ほぼ黒"の状態となっている。 ←今ココ

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骨が盗難されたとされているのは、Untermassfeld (ドイツのチューリンゲンにある)の発掘現場。

90万年から120万年前くらいの、14,000匹以上の様々な動物の骨がいりまじっている遺跡(※)だが、1978年に発見され、それ以降90ヶ月に渡る発掘と多くの研究者の参加にも関わらず、「人類が存在した形跡は誰も見つけていない」という。動物の骨には、人間が道具を使って殺して埋めた形跡は見つからない、ということだ。また、石器も、人類の骨も出てきていない。

(※)貝塚などではない。川の堆積物の中に含まれていた動物の死骸が折り重なって溜まった遺跡である。形成過程は以下の図を参照

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また、これ以外にも2002年から2012年の間に連続して起きた盗難事件が論文のほかの箇所に使われている可能性があるという指摘も以下の記事にあり、事実とすれば盗難された「それっぽい」骨を使って論文をデッチ上げたことになる。

History of humanity does not require rewriting: The case of Untermassfeld
https://archaeologynewsnetwork.blogspot.com/2018/01/history-of-humanity-does-not-require.html#uGRKwcmGRWHMLHqu.99

Archaeologists say human-evolution study used stolen bone
https://www.nature.com/news/archaeologists-say-human-evolution-study-used-stolen-bone-1.22984

論文の著者たちは骨の盗難を否定し、GDR collection(German Democatic Republicのことかな)からだと述べているようだが、発掘現場の写真がばっちり残っているし、調べれば判ることなんで…論文の著者自身が盗難に関与していなかったとしても、盗難された骨を、出所が怪しいとわかりながら使ったのは事実と見なして良さそう。

石器時代の権威らしい学者さんが怒りの論文を投下してるんで、これも是非みてほしい。
骨についた傷の鑑定方法とかすっごい勉強になる。「解剖する上で骨のここに傷がつくのは間違い」「なので、この傷は人間が動物を解体した跡じゃない」とか細かく見てる。

Uneven Data Quality and the Earliest Occupation of Europe—the Case of Untermassfeld (Germany)
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs41982-017-0003-5


これは一つ間違えばドイツ版の旧石器捏造事件になってたところ。教科書を書き換える前に同業者からツッコミ食らって傷が浅くてよかったですね…。専門家がツッコまないまま、教科書書き換えたあとで部外者にすっぱ抜かれた国も…あるんでね…。(´・ω・`)

ただ、権威の人の怒りの論文を読むと、「スペインあたりならともかくドイツでこの年代は有り得ない、ヨーロッパで見つかってる最古の石器の年代とも外れすぎ」って言ってて、そこが最初に疑いはじめたキッカケだとするならば、もう少し控えめな年代で誤魔化していれば日本のゴッドハンド事件のように発覚は遅れていたのかもしれない。

いずれにせよ、新説が出てきた場合は既存説や、ほかにわかっている事実と比べて、整合性がとれるかを考慮してみることが大事だということが良く判る一件であった。それにしても、この論文を出した学者さんたちは、一体なんのためにこんな捏造をやらかしたんだろうか…。

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