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zoom RSS 主に日本の学者に対する啓蒙本。「旧石器時代の型式学」

<<   作成日時 : 2017/12/11 00:10   >>

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過去に何度かネタにしてきたとおり、日本の考古学会にはほんの15年ほど前に起きた前期旧石器の捏造事件がある。二十年にも渡り素人が捏造しつづけてきた石器を、学会の一流の学者たちが揃いも揃ってダマされ、部外者に証拠を突きつけられるまで指摘も出来なかった、という、世界的に見ても最悪のスキャンダルである。関わった人数を考えれば、イギリスのピルトダウン人事件を越えるメチャメチャ恥ずかしい事件だと思う。

その事件の当時すでに専門家を名乗っていて捏造を指摘できなかった人というのは、要するに専門家たる要件を満たしていないわけだから、改心してその後ものすごく努力したとかでもなければ、石器についての手ほどきを受ける価値がない。何しろ、石器の年代の鑑定はもちろん、石器なのかただの割れた石なのかの区別もつかなかったのだから…。

と、いうわけなので日本語で石器の見方についての本を探そうとするとあまり選択肢がない。
数少ない選択肢となるのが、石器の捏造を発覚前から指摘していた数人の専門家の出す本に限られるのだが…。

旧石器時代の型式学
學生社
竹岡 俊樹

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(というか、いま日本語の資料でまともに石器の型式とか解説できるのこの先生だけなんじゃ…)


最初は、読んでみて「あれふつうだな」と思った。

ふつうだというのは、時に難しいことも言ってなくて、当たり前っぽいことをこまごまと具体例を挙げながら説明しているという意味だ。石器に作る順序があるとか、石器の作り方は数万年停滞することもあるから型式=文化で紐づけられないとか、偶然似た型の石器が無関係の場所で別々に発生することも有り得るとか、そんなの言われなくても考えれば分かる。そりゃそうだろうと。

ちなみにこの本が出たのは2003年、捏造事件発覚の数年後。著者は、2014年というわりと最近、「考古学崩壊」という学会に対するガチ切れ本を出しているのだが、それに比べるとずいぶん穏やかな口調なので、それも不思議に思った。

が、読み進めるうちにようやく判った。
この本は… こんな当たり前のことすら分かってなかった同業者たちに対する 別の意味でのガチ切れ本 なんだ…。(汗

前半はわりと一般的な話もあるのだが、後半は先行研究に対して逐一ひたすらツッコミを入れていきだんだんヒートアップしていく。確かにめちゃくちゃ勉強してる先生なんである。先行の研究を細かく読み込んだからこそ「なんでこんなのが今まで罷り通ってたの…」って半ギレになってるんである。判る。判るけど、たぶんこれ元論文読んでない人ついてこない。

完全に一般読者はおいてきぼりで、ターゲットは「今まで無批判に先行研究を継承するしかしてこなかった/権威におもねるあまり捏造を見破る能力を身につけられなかった」同業者たちに絞られていると感じた。
そして多分、啓蒙本を出したにも関わらず全く進歩しなかった同業者たちにキレたのが、最近出た「考古学崩壊」なんだと思う。


…気持ちは判る。
判るけど言っちゃなんだけど、前期旧石器捏造事件で捏造に気がつかなかった"専門家"って、要するにド素人の捏造を見抜けない程度ってことなんで、たぶん、この本の内容でも難しすぎると思うんだよ…。もう二段くらい下から始めないと…行けなかったんじゃ…ないのかな…。

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