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zoom RSS 天文学の知識で新たに解釈しなおす世界の遺跡/天文の考古学

<<   作成日時 : 2017/11/07 00:10   >>

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たぶんジャンル的には専門書なのだろうが、本の中で扱っている文化圏が多岐に渡るため、著者が全ての部分を得意としているわけではない。エジプトの部分は英語からカナ表記への転記がちょっとヘンだったり、中国の部分はツッコミが浅かったりと結果的に力不足な部分もあるが、全体としてよくまとまっていて納得できる内容になっていた。

天文の考古学 (ものが語る歴史シリーズ)
同成社
後藤 明

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この本は、ちょっと文体は固いが言ってること自体はそんなに難しくはない。
世界中にある様々な遺跡と、天文学との関係についての最新の視点について書かれている。既存のオカルト的な見方はもちろん論外だが、だからといって遺跡を天文学的な知識から解釈することの全てが無意味なわけではない。ということが主題。

遺跡と天文学というと、たとえばストーンヘンジやナスカの地上絵が夏至や冬至に関係しているとか、星座と関係しているとか、天文観測のために作られたとかいう若干オカルト寄りのジャンルとしてとらえられがちだ。エジプトだと、ピラミッドの並びがオリオン座に関係しているというオリオン・ミステリーが一時期流行っていたりもした。

しかし、そうした根拠の無い視点とは別に、「意味のある」遺跡と天文学の結びつけも可能だという話だ。


キーワードとして登場するのが「スカイロア」。「ロア」という言葉は民間で語られたもののことを指し、フォークロアという言葉にも使われている。スカイロアとは、「空について語られたもの」という概念。つまり各文化圏の人々が、どういう概念で空を見ていたのか、ということである。

たとえば、星座ひとつ取っても、文化圏ごとに見え方は全く異なる。
銀河の暗い部分を動物に見立てるインカ、夜空に巨大な一つの図を描くマーシャル諸島。

画像


文化圏ごとに重要な星や天体、現象も異なる。日本では富士山に降った雪の形で農業の開始時期を決めていたりするが、文化圏によってはシリウスが地平線に現われる時期や、プレアデス星団を目印にしていたりする。それら「空の見方」を知らなければ、その文化圏の遺跡がたとえ天文学と結びついていたとしても、読み解くことは不可能だ。なんでもかんでも自分の所属する文化圏や現代人的な視点から理解しようとすると、今までに失敗してきたオカルト寄りの誤った答えにしか辿り着けないことになる。

この問題を考えるには、「スカイロア」以外にも、前提としていくつかの概念を持っておく必要がある。
たとえば、

・古代世界において、特定の日をピンポイントで正確に測定することを求められる場面は少ない。が、農耕の開始や特定の野草の収穫時期など、季節的なイベントを知る重要性は高い

・夏至や冬至は別に、デカい遺跡を建てなくても簡単に測定できる。が、ちょうど中間点である春分や秋分を測定することは難しい

・遺跡は天体を観測するために作られたのではなく、逆に、測定した結果に沿って儀式などを行うために存在するかもしれない

といったことだ。

これらを適用した今の考古学がどうなっているのかは、4章の「天文考古学の現状」にサクッとまとめられている。文化圏ごとに全くアプローチの仕方が異なることに気がつくと思う。が、それが正しい。その文化圏での空の見方に沿って解釈しなければ意味がないからだ。

ただこのジャンル、天文学(理系)と考古学(文系)両方の知識が必要なので、発展させるのは結構大変だなという気がした。たぶん一人ではムリだからそれぞれのジャンルの専門家を連れてこないといけない。それと古代日本史で天文学の知識を使ってる部分は確かにあんま見たこと無いなーという印象。

日本だって海洋国家なのだがら、ポリネシアなどと同じく星による海路の決定などのスターロアや、それに伴う古代の遺物は色々ありそうな気がするのだが、果たして古代日本ジャンルの考古学に天文学の観点からの分析は持ち込めるのだろうか。

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