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zoom RSS 「通商都市カルタゴ」、通商部分があまり書かれていなかったが通史としてはまあまあ

<<   作成日時 : 2017/07/11 00:10   >>

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文庫版が出たので興亡の世界史の持ってなかった巻をとりあえずそろえた。
その中にあったのがこれ、カルタゴの本。

本拠地を焼き払った後ローマ人に塩を撒かれたという逸話で有名なカルタゴの、ローマとの戦争に至る前から滅亡までの一連のストーリーとなっている。

興亡の世界史 通商国家カルタゴ (講談社学術文庫)
講談社
栗田 伸子

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このシリーズはアタリハズレというか、著者によってレベル感や傾向にかなりバラつきがあるのが特徴で、そこが面白いともいえるのだが、今回のは真ん中あたりかなーという感じ。全般的には無難なカルタゴ史となっているが、無難すぎて面白みはない。ローマとの戦争に至る7章以降はローマ史などほかの本でも散々出てくるシーンなので正直もっとはしょっても良かったとおもう。本番は3章から6章。

なお1章と2章は、読んでてどうも記述が甘いなぁと思っていたら、2人いる著者のうち片方の人が書いていたらしい。うーん。オリエント史が専門ならもうちょっとツッコんで書けそうな気もするが…。
なお、ヒッタイト滅亡により製鉄技術が広まったという説はもう古いし、前1200年を暗黒時代と呼ぶのもだいぶ適当だしエジプト関係ないし、新ヒッタイトは建国が前1200年ごろで滅亡は前700年ごろのはずだ。ヒッタイト帝国とネオ・ヒッタイトを書き間違えているんじゃないかと思う。
1-2章でアレっと思った部分については、とりあえず以下を置いておく。

「紀元前1200年のカタストロフ」なるものが分からないんだが。(少なくともエジプトは関係ないよねコレ
http://55096962.at.webry.info/201703/article_1.html

ヒッタイト=鉄の帝国 というイメージの変更/鉄の伝播はヒッタイト帝国崩壊が切っ掛けではない
http://55096962.at.webry.info/201706/article_20.html

で3章から6章。
ここをもうちょっと膨らませて「カルタゴを大帝国たらしめたものが何だったのか」とか、商業の仕組みを詳しく書いてくれたら最高だったと思う。地中海が「ローマの海」になる以前、西地中海は「カルタゴの海」だった。そしてカルタゴのフェニキア人たちの航路は、大西洋を越えて西アフリカへ、場合によってはブリテン島など西ヨーロッパへも繋がっていた。彼らが運んだものは、地中海では入手困難な貴金属や資源、或いは自国で生産した工業製品。

領域ではなく、各地域においた「拠点」となる都市を通じて制海権を確保し、交易によって富となす。そうした国家のあり方は、たとえばジェノヴァやピサ、ヴェネツィアなど、それ以後の地中海世界にも登場する。カルタゴはその最初の国のひとつであるとも言える。

商売の基本は価格差なので、本来は高く売れるものを「より安く」仕入れて差額で儲けることになる。
たとえば製鉄技術を持たない民族に、彼らが欲する織物を提供し、代わりに鉄鉱石を仕入れて鉄器に仕立てて軍事国家に卸せば大もうけが出来る。よって通商国家は、価値観や保有資源の異なる複数の文化圏を行き来できることが必須条件となる。商売には行動力、交渉力、そして道中の安全を守るための軍事力が必要不可欠である。

今回カルタゴ滅亡までの流れを追いかけてみて、カルタゴが滅亡した理由は、最初の2つが衰えた故だったのかなとも思った。ここぞというところで決定力に欠ける軍事行動。ローマとの和平に何度も失敗している交渉力の欠如。軍事力だけ増強しても、通商国家としてはやっていけない。そもそもローマは商売のうえでのお得意様になったはずではなかったのか。同じ通商国家でもヴェネツィアあたりなら、プライドやメンツより儲け重視でうまく立ち回ったんじゃないのかなぁ…と思った。ていうかローマと戦う意味が全く分からない。いずれはローマの野心がカルタゴに向いたかもしれないけど、わざわざケンカ売らずにだらだらやってれば、もうちょっと長生きできたような…。


滅亡前のカルタゴは、もはや通商国家ではなく、領域国家、軍事国家になっていたのかもしれない、などと薄っすらと思った。


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