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zoom RSS 全てのビジネスパーソンへ。「紙の世界史 歴史に突き動かされた技術」

<<   作成日時 : 2016/12/28 00:10   >>

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歴史の本と見せかけてビジネス書でした。

「紙」の歴史を紙の誕生から印刷技術の進化・発展まで追いかけた本なんだけど、「新しい技術がいかにして生まれ、いかにして定着するか」という話。これビジネス書コーナーに置いても売れると思うよ。面白かった。

紙の世界史: PAPER 歴史に突き動かされた技術
徳間書店
マーク カーランスキー

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まず何より一番に伝えたいこと。

―― 「テクノロジーが世界を変えるのではない。求められているテクノロジーが定着するのだ」ということ。



文字を紙に書くということ、紙を作るということ。本にすること、印刷によって大量生産すること。
これらのテクノロジーは、「その時、その場所で求められていたから」定着した。その逆ではない。紙や印刷技術が世界を変えたのではない。世界が求めたから生み出された技術なのだ。


"社会を変えようとするテクノロジーは、必ず失敗する"。
冒頭で書かれているこの言葉の意味をまず考えてみたい。人工的に生み出され、何らかの意図を持って導入された様々な仕組みの失敗を思い出して欲しい。そうすれば、テクノロジーの意味を取り違え世界で惨敗してきた、近年日本の失敗の理由を正しく理解することが出来ると思う。

あらゆるテクノロジーは、定着ともに安価に、手軽になっていく。たとえばコンピューター。たとえばスマートフォン。この本の中の例では、紙そのものや、印刷された本の値段である。

ひとたび受け入れられたテクノロジーには必ず反対する者、異議を唱える者が現われるが、それでも「必ず」定着する。たとえばスマホゲームやVRなど。驚くべきことだが「紙に書くなど人間の記憶力を劣化させるものだ」という批判が初期の頃にはあり、そのあとには「パピルスと羊皮紙のどちらが優れているか」や「羊皮紙か、コットン紙か、パルプ紙か」といった議論があり、手書きの温かみに対して印刷技術は無味乾燥である、といった批判があつた。

そして、"新しいテクノロジーは必ずしも古いテクノロジーを駆逐しない"ということ。
紙に書く行為の発展が口伝をすぐに殺したわけではなく、紙の発展が羊皮紙を駆逐したわけではないように、また電子書籍の登場が紙の本と入れ代わりでは無いように、新旧のテクノロジーは長ければ千年でも併用される可能性がある。

「紙」にまつわる歴史の本なのだが、その内容は現近代のあらゆる"テクノロジー"に適用して考えることが出来る。汎用的に使える方程式は優れた方程式である。歴史書と言いながら、過去の実例とともに「未来を予測する」ために使える方法を教えてくれていると思う。ビジネス書としても使えるというのは、そういうことだ。



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[>過去に書いた記事

宗教とSonyを考える。五木 寛之「仏教のこころ」
http://55096962.at.webry.info/201402/article_28.html?pc=on

この時にも書いたことだが、Sonyの凋落は、「われわれはかつてウォークマンによって人々に習慣を植え付けた。これからも新しい習慣を作る必要がある」というふうに、自分たちが人々の習慣を変えたのだ、と勘違いしたところにあると思っている。

テクノロジーによって習慣が変わることはない。商品が人々が潜在的に持っていたニーズに合致したから爆発的に売れたのだ。かつて仏教が日本に定着した場合の図式と同じである。

ニッポンの電機メーカーはなべて、「我々が世界を変える」という傲慢さに囚われていると思う。
そうじゃない。
目に見えない世界のニーズを汲み上げて、「それを実現化する」でなければ売れないし、テクノロジーは定着しない。そして定着には最初は「安価であること」が条件となる。それは既に何度も歴史の中で証明されてきた"勝利の方程式"だ。「良いものを作れば売れる」などというのは幻想に過ぎない。


歴史とは、単に過去に起こった出来事ではない。膨大な事例データベースだ。
そこから得られた"経験"を未来に生かせなければ、学ぶ意味がないと私は思うのですよ…。

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