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zoom RSS 神の加護を受けし兜/現存するアングロ=サクソン時代唯一の兜、「ベンティ・グレーンジ・ヘルメット」

<<   作成日時 : 2016/08/21 00:10   >>

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まず最初にブツの話。
10世紀以前のヨーロッパ世界では兜は一般的ではなく、限られた支配階級の装備品だった。少なくともブリテン島と、ブリテン島に移住した北方人たちの世界では、兜はほとんど使用された形跡がない。なので残ってるものはめっちゃ少ない。

その希少な兜の一つで、頭頂部にイノシシが飾られているイカした兜が、ベンティ・グレーンジの農場で発見された兜なんである。

Benty Grange Helmet
https://en.wikipedia.org/wiki/Benty_Grange_Helmet

兜というよりもなんか王冠っぽいフォルムだが、おそらく貴人のものだ。
この兜はシェフィールド博物館所蔵で、イノシシ部分の拡大写真は博物館のサイトにある。

画像


http://www.museums-sheffield.org.uk/learning/schools-and-colleges/workshops/anglo-saxons/

なんで頭のてっぺんにイノシシがついているのかという話だが、これはフレイ神かフレイヤ神の加護を得るためと考えられている。
北欧神話では、黄金のイノシシ・グリンブルスティはフレイの所有物。「ヒュンドラの歌」でイノシシに乗って登場する女神はフレイヤ。「イノシシに守られた兜」という記述は、ブルテン島で9世紀頃に書かれた古英詩「ベーオウルフ」でも有名だ。イノシシは豊饒・多産の象徴であるとともに、神に愛された印とも考えられていたらしい。

ただ、このイノシシ、単にお守りとして置かれたのではないという説もある。
頭頂部を分厚くして防御力を高める効果もあったのではないか、という説だ。何しろこの時代の武器って叩きおろす鈍器系が多かったしね。山登りでもヘルメット被ってるかどうかで生存率が変わったりするけど、鈍器だらけの歩兵混戦だと、兜あるなしでだいぶ変わったんだろうなあ。


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あとはおまけの説明。


アングロ・サクソン人とは、現在イギリスのあるグレート・ブリテン島に、主に北方から移住してきた移民集団のことである。例によって日本語ウィキペディアの記述は若干間違えているが、主な構成員は以下の3部族。

 ・サクソン人  from 北ドイツ・オランダ
 ・アングル人 from デンマーク南
 ・ジュート人  fromユトランド半島(デンマーク北部)

これらがごたまぜになり、ブリテン島で「なんか風習とか言語とか似てるし来た方向も一緒だし俺ら一緒の部族でいいんじゃね」という感じでゆるーく纏まったものがアングロ・サクソン人。中の人たちは薩摩だ長州だと区別はしていたかもしれないが、移住された側からは区別つかないので便宜上同じ「倭人」として扱われた、みたいなノリ。あとケルト文化の駆逐なんてしてないのでそこもWikipediaの記述はキニスンナ。そもそも最初に移住してきたアングロ・サクソン系の人たちはローマの末期に傭兵として雇われた人たちなので、突然襲撃してきたわけでもない。


アングロ・サクソン時代と言われるのは、紀元後450年(5世紀)頃から1066年(11世紀、ノルマン・コンクェストまで)。
ただし、ノルマン人が攻めてきて王朝をとったからといって、アングロ・サクソン人がいくなったわけではない。人種は変わらないが、支配者が変わったことによりラテン系の文化が流入して、以降はゆるやかに変化していくことになる。

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