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zoom RSS 犬と歩く1万年の旅 in JAPAN

<<   作成日時 : 2015/12/26 00:10   >>

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何度も言いますが俺は犬が好きです。
猫もまぁ嫌いじゃないんだけどな、やっぱ犬だな。



というわけで日本史の中の犬の話。
日本では、犬は縄文時代の遺跡から骨が出てくるので、そんくらいから飼われていたらしい。大陸渡来である。それから現代に至るまで、日本人と犬とは長い付き合いである。

だがその付き合いの内容というのは今まであまり考えたことがなかった。
たとえばこういうことだ。

 ・縄文人が犬を食べた形跡は見つかっていないが、弥生時代になると食べている
 ・初期には白い犬が珍重され神扱いだったが、犬が増えてくると神格化されなくなった
 ・犬は基本的に狩りの友だった
 ・江戸後期になるまで日本に狂犬病は入ってきてなかった
 ・南蛮貿易とともに多くの洋犬が入ってきて、一時期は日本特有の犬種は絶滅しかかっていた
 ・太平洋戦争に従事した犬もいた

などなど。

紫式部や清少納言が犬に対して冷たい、という話などクスっときた。確かに平安朝あたりの文学って犬の扱いあんまり良くないよな…。猫はやたら推しなのに。花坂爺さんあたりでageられているのはむしろ珍しいほうなのか。

かつては犬の役割が「死体と人糞の処理」だっという話などは、ほほうと思った。

死体はいわずもがな、野たれ死んだ人間の死体の肉を食べるのは、都市周辺をうろつく犬の役目だ。「羅生門」の世界なんかをイメージすると分かりやすい。しかしそれ以外にも、姥捨てや捨て子、捨て病人などの処理もしていたというからなかなかに壮絶だ。しかし本にも書かれているとおり、犬は本来、狩りをするケモノなのだから、人間といえど弱者である弱ったエモノの肉を食べるのは当然である。

人糞処理の話は、日本史の新たな一面を見た気がした。近代まではエスキモー/イヌイットの社会でも犬は人糞処理をしていた。人のうんちに含まれる未消化のものを食べるのだ。日本でも、下水道も人糞処理システムも無かった時代には村の公衆トイレは犬のたまり場だったという。犬と人の関わりは、実はこういうところから生まれているのかもしれないと思った。ヒトの食べ残しやうんちを狙って集まってきた狼が、いつのまにか里にいついて犬となる。というのも、犬飼育のひとつの起源としてはありそうな話である。

犬の肉が鷹狩り用の鷹のえさにされていたというのは、えぇ…と思いながら読んでいた。考えてみれば確かに、「動物を殺したらだめ、可愛そう」なんてのはごく最近の感覚なわけで、戦前なんかはそのへんの野良犬を平気で殺したいたはずだ。戦中も食糧難の時に野良犬をとらえて食べたらしいから、いわんや昔は、なのだろう。


同じ話が何度も出てくるので 本のボリュームは半分にして値段安くしたほうがいいんじゃないか? とか思ったりもしたが、興味深い話が読めた。ちなみに最近では、山に登っても野犬がいない。昔はそのへんにいたはずの野良犬、今はどこへ行ってしまったのだろうか…。



****

さて、ついでなので、最近流れていたニュースについても蛇足を書いてみる。


イヌ家畜化の起源は中国、初の全ゲノム比較より
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/122100372/

前にもネタにしたけど、これ、確定した話ではない。
今までのパターンからすると、早ければ数ヶ月、遅くても数年以内に「それは違う」という論文が出るだろう。



何故かというと、

・数万年前の話を今の犬のDNA解析から検証しようとするところに無理がある。

・人間が飼い慣らしていない野犬(原種に近いと思われる)のDNAを十分採取できていない。
 そしてその多くが既に絶滅しているので実質比較が不可能

DNA解析は決して万能ではない。
 たとえ全ゲノムが解析できたとしても、既にさんざん混血の進んでいる各地の飼い犬を調べても分かることに限界がある


また、「起源」が大好きな中国政府は犬の起源をどうしても中国にしたいと考えているようなので、中国がお金をだしてる研究は例外なく「起源は中国」と出してくる。それ意外の結論が出ていたとしたら公表されない。

もっとも、それは中国だけが悪者ってわけじゃなくて、このジャンルの研究で食ってる研究者たちのプロレスみたいなところもある。
そもそも限界のある手法での「仮説」であり、この方法では絶対的な結論は出せないのだから論争に決着がつくわけがない。逆に、決着がついてしまうと、もうその研究では食っていけないので、数年ごとに「いや、本当はこっちが正しいんだ」という論文を出してひっくり返せる手法は実に都合がいいのだろう。

現代の犬に限らず本当にイヌの起源を調べてみようという試みは、考古学の世界で行われ始めている。遺跡から出てくるイヌもしくはオオカミの骨からDNAを採取できないかという試みだ。出てくる骨の状態は良くない&絶対数は少ないし、採取できるDNAなどごく僅かだ。しかしそれでも、まだ人の移動がそれほど活発ではなく、野犬も多く生き残っていた千年前のDNAでも抽出できれば、現代のDNAだけ調べているよりは遥かに重要な発見が出来るはずなのである。

ちなみに冒頭で紹介した本では、日本の犬で発見されている最古の証拠は約1万年前。中国あたりで3万年以上も前に飼育が開始されていたのなら、日本に伝わるのに2万年以上もかかることになる。そもそも日本人の出自がはっきりしないので断定は出来ないが、縄文人は南方系で海路でやって来たとも言われている。とすれば、既に犬が飼育されていた地域から繋がる系統があったことにはならないか。
中東あたりで1万年5千年前くらいに飼育が開始されたのなら、日本に入るのが1万年前というのはまぁ分かる。
だが東南アジアで3万年以上前というのはどうにもすわりが悪い。既に存在する情報との整合性が取れない新発見には疑ってかかる理由がある。


このニュースに限ったことではないが、「xxの起源はxx」系の記事はとりあえず話し半分で聞いておくのがベターだ。

「起源」と「現在見つかっている中で最古」もしくは「今回の研究範囲での収斂先」の間には、絶対的な隔たりがあり、両者は明示的に区別されねばならない。起源というからには、そこが唯一の出発的で、それより前には存在せず、そこから後のすべての道は出発点より繋がるとせねばならない。長年論争になっているような事案の中で、単品の研究で、そこまで言い切れるものが出せるとは思えない。

今回の研究に限っていうならば(専門外なので超ザックリした予想だが…)たぶん、インド南部の野犬を対象に入れていれば、インドが起源と出たのではないかと思っている。



参考;

ネコがあるならイヌもやらなきゃ! ってなわけで、飼い犬の起源を探してみたぞ
http://55096962.at.webry.info/201404/article_4.html

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