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zoom RSS ヨーロッパ民族大移動再び 欧州に押し寄せる難民たち

<<   作成日時 : 2015/08/15 00:10   >>

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ここのところニュースに頻繁に取り上げられるようになってきている欧州への難民。
これはもはや「民族大移動」と呼んでもよい規模だと思う。

世界史に興味のある人なら、4世紀頃からヨーロッパで始まったフン族の侵入による民族大移動の時代を思い出さないだろうか。フン族はアジア(モンゴルあたり?)方面から流入した。そのフン族がゴート族を追い出し、追い出されたゴート族が西へ移動してさらに玉突きで他の部族を…と順繰りに移動を繰り返して数百年続いた時代だ。

現在起きている民族大移動はこれとは異なり、南から北へ。
多くは、政情不安な北アフリカや中近東から渡って来ている。また、ヨーロッパへ直接行かなくても、シリアからトルコ南部へ押し寄せている流れもある。「南より北へ」、これが現在のヨーロッパの「民族大移動」なのである。



さて、4世紀の民族大移動と今の民族大移動、共通点もあれば、異なる点もある。
最も大きな相違点は、「民族単位で移動していない」というところだろうか。難民たちの出身地はバラバラだ。その点でいうと、欧州における「民族大移動」よりは、紀元前13世紀頃に発生して東地中海地域に影響を及ぼした「海の民」(実体は難民群だったという説がある)に近いかもしれない。ヒッタイト帝国も、この事件が一つの要因となって滅亡している。

しかし、逼迫した身の危険によって住みかを追われ、安寧の地を求めて移動している、という意味では、過去の「民族大移動」と同じだと言える。



現代の難民たちはなぜ欧州を目指すのか。事情はそれぞれだろうが、たとえば例のISISに支配されつつある地域の住民として考えてみてほしい。いつ政府軍、IS軍、どちらに蹂躙されるとも限らない。一端ISに支配されてしまえば自由はなくなる。政府軍がやって来たとしても彼らは解放者にはなりえず、ISを追い払ったあと近隣を略奪したケースや、IS戦闘員の残党を探しているうちに住民まで殺害してしまったケースもある。また、ISの拠点が集落の近くに作られた場合、空爆に巻き込まれる可能性も大きくなる。逃げるしかない。

そう、私でも逃げると思う。それ以外に選択肢は無い。
そして、とりあえず海の向こうの欧州に渡れさえすれば、貧くとも「死ぬことはない」のだとしたら?

生存本能は何よりも優先される。飢えの恐怖より、明日銃殺されるか、今日爆殺されるかという恐怖のほうが大きいのは当たり前だ。

カダフィ亡き後のリビアにしろ、イスラエルの攻撃に晒されるパレスティナにしろ、政府軍が圧されつつあるイラクやシリアにしろ、現在欧州に押し寄せてきている難民たちの多くは、このような逼迫した生命の危機を抱えている者が少なくない。

密航船が転覆して数百人が溺死などというニュースも頻繁に流れていて、なんでわざわざそんな危険なことやんのかと思う人もいるかもしれないが、それは、彼らの故郷が海を渡ることより危険だからである。



彼らが求めているのは、第一に「安全な住処」である。
そのために欧州へ渡り、EU内で、より「住みやすい」国を目指す。

ということは住む土地が必要なんである。そして食べていける仕事。
これを与えない限り、難民問題は解決しない。単に金銭的や衣食住の支援ではいずれ追いつかなくなるのは当たり前の話だ。余ってる土地を与えればいいのである。そして人が増えるからにはそれだけ食料も必要になるので、「畑作らせればいいんじゃね?」と私などは思うわけだが。なんで農業教えないのさ、と。

いま難民が直接流れ込んでいるのはイタリアやギリシャ、フランスなど地中海沿岸の国々だが、EU内である程度、人の融通は出来るんではなかろうか。ていうかEU外でも、開拓民を欲してるグリーンランドとか、土地余りまくりのアルゼンチンとかダメなの? 安全に住めるところを彼らに与えられるんではないの?


一体、世の中の為政者というものは、歴史をなんだと思っているのか。それは単に「起きた出来事の羅列」ではない。今起きていることを経験則で理解するための集積物だ。いわばナレッジデータベースだ。活用せずしてどうする。
歴史は繰り帰しである。過去の事例を探せば、大抵のことは既に起きたことが形を変えただけだと分かる。

今、欧州で起きている民族大移動を過去に幾多の国や文明を滅ぼした「大移動」になぞらえて考えるなら、この先数年で収まることなどありえず、何十年、何百年と続くはずだ。今の対応を続けていれば、早晩破綻するのは見えている。というか、既に破綻しかかっている。

難民が押し寄せたなら、定住地を与えるか、虐殺するかしかない。

前者が出来なければ、強制的に後者が選択されるだけだ。
リミットが来る前に、欧州の為政者たちは前者を選ぶことが出来なかった。時間切れとなった今、受け入れることの出来ない難民たちは、海上で見殺しにされようとしている。人類はまた、不幸な歴史を繰り返そうとしているわけだが… 

いつか当事者になるかもしれない日本も、他人事ではないのだということは考えておく必要があるだろう。
「生命か、死か」。



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