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zoom RSS 改めて「ギザの大ピラミッドはコンクリートで作られていた」説の発端を調べてみたぞ

<<   作成日時 : 2015/05/12 00:10   >>

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今更だけどな!日本ではあまり騒がれないですが意外と海外ではメジャー(?)なトンデモ説なんじゃないか? と思い始めたので源流を探してみたぞ。

遡ってみたところ、なんとこの説、初出は1970年台でした。意外と古い!

発端となったのはフランス人の材質科学者(materials scientist)、Joseph Davidovits。
http://en.wikipedia.org/wiki/Joseph_Davidovits

本業のセメント関連の仕事ではそれなりに成功している模様。
つまりセメントの専門家が畑違いの考古学にちょっかいを出して「ピラミッドもセメントが使われているんだよ!」と言い出した案件だったのです。そのへんのド素人が言い出したならともかくっ、本業では認められている立派な"博士"だけに余計な箔がついてしまったんですねコレ。

Wikipediaの内容を見る限り、説自体は思いつきの域を出ておらず大変お粗末。
「ピラミッドの中の湿度が高いのは、材質にコンクリを使っていてそこから出た水分だ」とか、毎日汗だくの観光客が出入りしてるのにそりゃ当たり前じゃないっスか…と言いたくなるレベル。玄室にある花崗岩の棺はどうやって持ち上げたんだとか、石を砕く道具をどうしたんだとか、まあそりゃ考古学者も受け入れられない。


ですが爆笑とともに流されてしまったこの説は、2000年台半ばになって再度復活します。
現在、Joseph Davidovits に代わって「ピラミッドはコンクリート製」を広めているのは、Michel Barsoum。

以下は「Material Science and Engineering」での発表。

Pyramids: Cast, Poured, or Both?
http://www.drexel.edu/materials/about/special/pyramids/


Live Scienceにも記事がありました。この人も考古学とは無縁の、セラミックスの第一人者らしい。

Journal of the American Ceramic Society
http://www.livescience.com/1554-surprising-truth-great-pyramids-built.html

主張している内容は

・大ピラミッドの内側と外側の石の成分は一致しているので、全体がコンクリのはず

・石の構造が自然界のものではない

など。

「大量の石を削り出したはずなのに銅ののみがギザ台地から見つかっていない」という主張ですが、道具の発見数が少ないのは勿体無いので再利用されたからではないでしょうか…。ピラミッド作ったあと文明が滅びたならともかく、そのあと何千年もそこで人が暮らしてるわけですし。それに、石灰岩を削り出すためには石灰岩より硬い石の道具を使うほうが効率的です。金属製の道具をイチイチつくるよりはそのへんの石を拾ってくるほうが早い。ちなみに石の道具(というか割れた硬い石の破片)は、ギザ台地にけっこう落ちてますね。

道具が発見されていないことをもっとピラミッドがコンクリート製だというのなら、逆に、コンクリート作りに使われたはずの道具を見つけないと根拠にはならないと思うんですよ…。



そして、Joseph DavidovitsもMichel Barsoumも言ってている「天然石にはあり得ない成分、中に髪の毛が入っている、気泡がある」という主張の元ネタがこちら。

http://www.geopolymer.org/archaeology/pyramids/pyramids-2-the-evidences

このページは「ピラミッドはコンクリ製なんだい」と主張したくて書いているようなんですが、逆側の主張もちゃんと載せている点は好感が持てます(笑
既にこの中で解説されているように、ギザ台地のあたりって大昔は海だったんで、ギザの石灰岩は海の生き物の死体が降り積もって出来た層なんですね…。中に有機物が入ってるのは「そりゃ当たり前だろ」って話なんです。髪の毛じゃなくて海の何か。気泡と言われているものは貝殻が消えた痕跡ですかね。なので証拠にはならんのです…。

画像


この説の致命的な点は、既に考古学者が散々指摘しているとおりになると思います。

 ・ピラミッド近くに採石場の跡が見つかっており、ブロック状の石材を切り出した跡も残っているのに、その石を敢えて砕く意味がない。

 ・大ピラミッドには石灰岩以外の石材も使われている。

 ・コンクリを製造するような施設/道具は見つかっていない。

髪の毛が入っている! という写真の元になった調査も、じつは1982年のものなんですよ。データが古すぎる。改めて調査してみたら昔の調査の精度が低かっただけだった、なんてこともありそう。ツタンカーメンの暗殺説や火星の人の顔がそうで、写真写りの都合でそう見えてただけだった、というオチ。
おそらく現在の最新設備で改めて採石場とピラミッドの石を比較調査すれば一致するのではないかと…。


ピラミッドの周囲にあるピラミッド・タウンの発掘が本格的に始まったのが1990年台後半。
最初に「ピラミッドはコンクリ製だ説」が出てきたあたりの時代には、おそらく、まだピラミッドを作った実在の人間たちの存在がそれほど明確ではなかったのだと思います。今は、ピラミッドを実際に建設した、無数の名も知れぬ一般人たちの存在が知られています。その当時を生きていた"人間"を見て論じなければ、どんな説であれ机上の空論になってしまうと思います。

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