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zoom RSS 「トルコの歴史」 せめて地図はどうにかしてくれ…! 色んな意味で編集さんが失敗した本

<<   作成日時 : 2015/03/21 00:10   >>

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久し振りにサバサンド食いに行きたい。そんな気分で歩いていたとき、本屋で平積みされていたコレを購入。
「歴史ガイドとしてもオススメ」「旅に行きたくなる本」とかいうPOPにも引かれたからだが、何より視点が面白そうだった。

トルコは国としてはそんなに古くない。が、現在トルコのある地域は非常に古い歴史を持っている。

カッパドキアなどのあるアナトリア周辺はかつてエジプトと覇権を競り合ったヒッタイト帝国の栄えしところ。イスタンブールはいわずもがなビザンツの首都として栄えた千年の都。イオニア海沿岸はギリシャ文明の本体ともいうべき地方。南のほうにいけばミタンニがあったり、メソポタミアとの繋がりがあったり… と、実に興味深い歴史の宝庫だ。

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野中 恵子

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それを人が住み始めた初期から順に、国や民族の興亡を連続して書いてある本は今まであまり無かったと思う。これは面白そうだ、と期待を胸に手に取ってみたのだ・・・ が・・・・・・。

うーん・・・。という感じだった。以下その理由。



●地図が超絶に分かりづらい


もう少し頑張りましょうポイントの第一は、本の中に出てくる地図が素晴らしく分かりづらいこと。むしろ分かりづらくさせるための地図かこれはと勘ぐるほど分かりづらい。

これ出されて、どこが何だか分かりますかね…?

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わかんねっすよ(笑)
まず本文で触れられてる「アナトリア」がどこから何処までなのかも示されてないし、ヒッタイトの話してんのにクズル・ウルマック(赤い河)がどう流れているのかも、ヒッタイト首都すら示されてませんし。おまけにトルコの領土しか書いてなくて、隣国とどう接してんのか見えない。本文に出てくる国は、グーグルマップ広げないと位置関係が理解できません。

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海と陸はこう。四方が海な島国ならともかく、複数の海に面していて、しかも国境の複雑な国なのに、この書き方ではどこまで海なのか全然分からない。エジプトの近くだからこのへんの地図はよく見てて、いっぺんトルコにも旅行行ってる(平均的な日本人よりはトルコの地図を見ているはずの)私ですら「???」ってなったもん。

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これでは、地図の意味を成してない…。
恐ろしいことに、この本に入ってる地図ぜんぶこのフォーマット。入れる意味がない。どうしてこれでイケると思ったのか、編集さんを小一時間問い詰めたい。今からでも地図作りなおして差し替えて欲しい。


●アレクサンダーの棺はアレクサンダー本人のものではない

第一章で「アレクサンダーの棺はイスタンブール考古学博物館が所蔵している」と書かれているけれど、あれはアレクサンダーのものだからそういう名前なんじゃなくて、棺のレリーフにアレクサンダーがいるからそう呼ばれているモノです。

っつーて、現地の解説にも書いてありましたですしおすし。
発掘地が霊廟のあったアレクサンドリアじゃなくてシドンな時点でお察し下さい的な。


●全般的に第一章が微妙だった

全五章のうち最初の第一章部分で、何箇所か微妙な箇所がありました。たとえば「ヒッタイトがエジプトに勝利した」という記述とか。

ヒッタイトとエジプトが和平条約を結んだのは確かだけれど、カデシュの戦い以後も互いの国境線は変わっていないので、「引き分け」と見るのが妥当なセンかと。(例によって、エジプト側の文書では大勝利★ということになっているのだが…。) ちなみに和平条約後にヒッタイトから王女がエジプトに嫁いでいるので、これも「引き分け」説を有力視させる要因になっちょります。負けた国に娘を嫁にはやらんやろしね。

人によって歴史に得意不得意あるので、著者の人は中世〜近代が得意な人だったんじゃないかと予想。もしくは、トルコの歴史書ではヒッタイトが勝ったことになってて、考古学の世界の定説は見てなかったのかもしれませんが。第一章は古代の部分なんで、歴史書っていうより考古学ジャンルなんですよね。




とかダメ出しもしつつ、最初に書いたように視点は良かった。トルコメインなので、もちろんキリスト教の話も東側視点なんだ。キリスト教の話するとき、シリア・オーソドックスの話なんか滅多に出てこないっすからね…。キリスト教マニアな人でさえ、アンティオキアとアレキサンドリアが、かつてローマ以上の権威を持った総主教座だったとか知ってる人あんまいなくて寂しい(´・ω・`) 

エジプトとかシリアのキリスト教徒側からすると「うちらのほうが古いのに、何でお前ら勝手に決めたこと正しいと思わなあかんねん、うちら勝手にやるわ(キレ」 →離反 なんだけど、なんか日本で出てるキリスト教関連の本は西側からの視点が多くて、異端迫害された側の話が滅多に出てこないのが不満なんだ。争いの歴史は両視点(+できれば第三者)から、ってのは基本だと思うんだけど…。


あと、むかしキリスト教が世界宗教になった要因は、ローマが支配のために利用したからじゃないか ってブログに書いたら、そんなわけないってむっちゃお怒りのメール貰ったことあるけど、この本も同じようなこと書いてたよ。

ともかくコンスタンティヌスは、東西のキリスト教を政治的に取り込んだ。勝利後は祖国の再分裂を防ぐため、キリスト教で国をまとめる計画だった。だからこそキリスト教の認識が個人個人はむろん、地域や民族ごとにバラバラでは意味がない。全国から聖職者を招集し、一つの「正しい教え(オーソドックス)」を確認させた。これは東方の共通語だったギリシア語の表現だ。つまり「正統キリスト教」を意味している。


ソースが出来たよ! やったね俺!

そんな感じで後半はするっといけました。




というわけで、面白かったは面白かったけど、この本は現在のところ初心者にはオススメできません。
理由は

 ・地理が全く分からない。添付の地図が最悪

 ・サブタイトルに使われている地名が「町の名前」「町の中の地域名」「地方名」とレベルがバラバラ。「アナトリア(地方名)」と「ベイオウル(イスタンブールの一地域)」が並んでいても、一般読者に通じない。ていうか地図上で場所が探しづらい。サブタイトルは町の名前に統一して、横に地方や地域名をつけるほうがいい

 ・多分、各時代で言及されているキーワードの説明が初心者には不十分なので、おそらく基礎知識がないと意味不明になる

というところ。

最低限、ページ増設して地図をもっと分かりやすくしてくれないと、トルコを旅するときの歴史ガイドには使えないです。今のままだと、ある程度トルコの歴史とか分かってるトルコ・ファン向けのニッチな本にしかならない気がする。あとちょっとなんだけどな…。

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