現代人、ちょっと考え甘いよね。古代人が家畜の乳を利用しなかったのは、病気になるからという可能性も

古代人が家畜の乳をいつから利用し始めたか、という話で、乳糖不耐(乳を飲むとおなかを壊す体質)の有無だけで語ろうとしているドキュメントが多くて、う、うーん? という感じになってしまう中の人ですよ。

前段としては以下の記事を参照。

「大人は牛乳を消化出来ずにお腹を壊す」の誤解と、古代人のミルク摂取事情
https://55096962.at.webry.info/201902/article_24.html

乳を飲むとお腹こわす体質の人は世の中に結構いる。
そして、アジア人には乳糖分解酵素を持っていない人が多い。
しかし現実には、モンゴルなどで、はるか昔から乳製品を利用してきた痕跡は見つかっているし、私たちの多くだって日常的に乳製品は食べている。別に民族性とか遺伝的な体質は、それほど大きな要素ではないんである。

古代人が動物の乳を利用しなかったのは、ひとえに「熱処理が不十分な乳は病気にかかるリスクがあった」からだと思うのだ。

その最たるものがブルセラ症である。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-04-28.html

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原因となる動物がウシ、ブタ、ヤギ、イヌ及びヒツジとなっていて、乳製品を作るのに使うだろうウシやヤギがドンピシャで入っている。
死亡率はさほど高くはないが、男性の1/5が大事な部分に痛みを感じるという深刻な事態。この病はクリミア戦争で流行したことでも有名だし、古代ギリシャの時代から記録されているため「地中海熱」の別名も持っている。

また最近では、古代エジプトの墓から発見されたチーズからこの菌が検出されたことでも話題になった。

https://www.gizmodo.jp/2018/08/3200-year-old-cheese.html


現代の日本でお店に売られている乳製品は、全て低温殺菌されているし、この病気にかかった家畜がいないかどうかは厳しく管理されている。
だから乳を口にしても病気になることはまずないのだが、古代世界においてはとてもリスキーな行為だったのではないか。

なので自分は、限られた地域でしか乳製品が利用されなかった要因としては、

 ・家畜の病気の蔓延具合(リスクの低い地域のほうが利用されやすい)
 ・加熱処理できる調理設備があること(燃料や器の問題。移住生活だと厳しいかも)

なども重要だと考えている。
体質的に食える食えないよりも、安全に利用するための知識と経験も必要ということ。

しかし人間、異種族の乳絞って飲もうなんて、冷静に考えたらなかなかに冒険的なことやってるんだよなあ…変態か?
そんなこんなでご先祖様たちの身体を張った試行錯誤のはてに、ぼくらは今、おいしい牛乳やチーズを食べられているわけです。ありがとう昔の人たち!