誰がここまでしろと言った。ビールの全てを詰め込んだ「ビールの科学」

ブルーバックスだしどうせロクでもないマジキチな情報の詰め込み方してるんでしょ。と半笑いで開いたら予想の斜め上まで詰め込まれていてガチ過ぎさに震えた、そんな夜。

「ビールの科学」。
これは、ビール本体の科学というより、ビールを飲んだことのある全人類を健全なビールクズとして育成するための教本であった。

カラー版 ビールの科学 麦芽とホップが生み出す「旨さ」の秘密 (ブルーバックス) - 渡 淳二
カラー版 ビールの科学 麦芽とホップが生み出す「旨さ」の秘密 (ブルーバックス) - 渡 淳二

初っ端は「ビールとは何か」や「ビールの歴史」といった、わりとありきたりな内容。
現代ビールの製法や機材についた詳しく出てくるあたりから、何やら雲行きが怪しくなってくる。この本、サッポロビールに務めるガチな研究者がよってたかって書いている本なのである。あとがきに集うメンツを見て、なるほど、詳しいわけだな、と気づく。

ビールのおいしさとは何なのか、ビールの値段を決めるものは何か、ビールの種類と味や色の違いはどこから来るのか。
更にビールの正しい注ぎ方、ビールの正しい飲み方なども、科学的に教えてくれる。科学的に。
ビールの表面に作られた泡の役割、缶ビールはいちどグラスに注いだほうがおいしく感じられる理由、冷やしすぎたビールはおいしさを損なうことetc... 個人的にウケたのは、「ビールは背筋を伸ばして、食道から胃までまっすぐに液が流れ込むように飲むと一番おいしい」という作法。
な、なるほど???
姿勢を正して飲めと…。前かがみにダラダラ呑むのはダメだと…。

さらに著者が実際に世界を巡って探し出したマジ旨いビールとか、著者が実際に作ってみたビールにあう美味しいおつまみとか、とにかくビールを飲ませようとしてくる、ある意味とても良くできた販促本でもある。さらに! 「体を壊さないように長く正しくビールとつきあうために」という章まであって、用法用量を守ってビールとつきあうように、との有り難いお言葉まである。

教本と書いた理由はここにある。
そう、これは、正しいビールの飲み方、付き合い方を”科学的に”理屈づけて教えてくれている本なのである…。



そしてなんと言っても、ビールを作るのは酵母。
酵母が苦労して生み出したものがアルコールであり、我々は、その排出物をありがたくいただいているわけである。ビール酵母にもっと感謝しなければいけないのかもしれない。なんか、そんな気にもなりました まる


*似たノリの本に「ウニ学」というのがある。
*これも、「そこまで教えてくれんでもええんやが…」みたいな気持ちになるくらい、ウニのあらゆる知識が詰まっている本

https://55096962.at.webry.info/202109/article_12.html

知識で胃袋を攻めてくる本はどれもこれも、突き抜けてる感じがする…。