ジャイナ教徒は微生物をどう認識しているか→不殺生の対象だった

インドにはジャイナ教徒という人たちがいる。

ちょっと仏教と似ているところがあり、仏教で言うところのブッダに該当する教祖がマハーヴィーラ。仏教以上に不殺生を徹底する狭義が特徴で、動物を食べる肉食はもちろんNGだが、野菜についても畑を耕すと土の中の生物を傷つけるからNG。他の人が耕した野菜は食べられるが、「そこから生命が生ずるもの」である球根や種を食べることはNG。たまねぎ、じゃがいも、ザクロなどは禁忌とされている。ヴィーガンの上位版というか、とてつもなく対象範囲が広いのである。

何しろ、外を出歩くと虫などをふんづけるかもしれない、羽虫を呼吸で害するから羽虫の多い季節も外に出るな、とかである。
どうやって暮らしてるんだ…という感じだが、不殺生を徹底するために彼らの多くはホワイトカラーのビジネスマンとして働いているのだという。確かにオフィスビルの中にいれば羽虫は吸い込まないし、お金で食材を買えば自分は不殺生である。そこはヴィーガンと同じらしい。

あと物欲がよくないとされていて不所持の戒律もあるが、これも最近のミニマリストとやらに通じている。意識高い人の考え出すことは、すでに過去のより意識高い人々によって実践されているということだ。

やってることはかなり徹底されているものの、やってる方向性自体は理解できる。


そんなジャイナ教徒の皆さんだが、どうも近代になってから不殺生の範囲が広がっているようだ。
微生物も生物としてカウントするようになったからだ。たとえば、水の中にいる小さな生き物も不殺生の対象。だから水は徹底的にこして飲む。あるいは、出家している人たちは在家信者に煮沸してもらってから口にする。

なら、その微生物ってどこまで入るんだろう。と疑問に思ってちょっと調べていたのだが、なかなかの徹底ぶりであった…。

・腐りかけたものは食べてはいけない。 →微生物がいるから
・発酵食品NG。 →微生物がいるから
・毒物を摂取してはいけない。 →体内の微生物を害するから(!)
・食後のお皿を放置してはいけない。 →微生物が湧き、洗う時に殺してしまうから

ビフィズス菌摂取も納豆菌摂取もダメ、体内の微生物を殺すのもダメ。そのへんに湧いてくる微生物も殺生してはダメ。
これらの教義は時代や地域ごとに多少変わるらしいのだが、ガイドラインを作るほうも従うほうも大変そうである。

お風呂に入ると体の表面にいる菌が流れるけどそれはどうなんだろう…とか、生ワクチンは生物から作られてるからダメなのでは…とか、考えていくと果てしなくわからなくなってくる。だがしかし、不殺生を突き詰めると確かにこうなる。要は「どこまでを生命としてカウントするか」という定義の問題である。あと身体に入ってきた病原体はどうなんだろうか。自分の体内の生物と外部から入ってきた生物が戦ってどちらかが死ぬわけだけど…病気かからないように生活しろってことなのかな…。

というわけで、やろうとしていることは分かったが、対象範囲は広すぎてよく分からん、というのが正直なところであった。
教義自体は面白そうなので、興味ある人は資料とか漁ってみるといいと思います。なんとマイナーぎみの宗教のわりに日本語資料がたくさん出ているので…。