南インドに最初に伝来したキリスト教は東方正教会系だった、というのをちょっと調べてみた

南インドには、一定数のキリスト教徒が存在する。
外務省サイトによれば、キリスト教徒は2.3%、少数派だ。大半は南インドに存在する。
しかし調べていくとどうもこのキリスト教、かなり古い時代からインドに存在するようなのだ。

そして、インドにあるとは思えないほど正統的なキリスト教教会がある。
こんな感じで。

https://mosc.in/
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というわけで、調べてみたことをメモしておきたい。


●最初に伝来したのは東方正教会系
●伝来は2世紀、遅くとも4世紀


キリスト教は大きく東方正教会系と西方教会系に別れている。カトリックやプロテスタントは西方系、ローマ教皇がトップなのはカトリック。対して東方系はローマ教皇がトップではなく、それぞれの細分化された宗派ごとに教皇を戴いている。たとえばエジプトのキリスト教であるコプト教の教皇さんは、こんな感じだ。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_004949.html
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インドの教皇さんはこちら。(最近逝去されてしまったそうなので、これから新しい人が立つはず)
正教系の聖職者はひげを長く伸ばすのが特徴で、かぶっているものやトーガも西方教会とは異なる。

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なお、エジプトのコプト教は使徒のひとりマルコに由来するとされているが、インドのマランカラ正教教会はトマスによって布教されたと主張している。キリスト教発祥の地である西アジアからインドまでは遠く、なぜ途中をすっ飛ばして南インドに定着したのか、について、以下の資料によれば、ケーララには西アジアと直接繋がる港町があったことから、海路で伝来したのではないかとされていた。海路で布教者がやってきたなら、南インドにだけピンポイントでキリスト教コミュニティが出来たというのも納得できる。

和光大学リポジトリ インド・ケーララ州のキリスト教 (PDF)
https://wako.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=4451&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1

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少なくとも、キリストの神性/人性問題については5世紀半ばのカルケドン公会議で採択された内容を否定する派のようなので、それ以前から存在した教義を引き継いでいる古いキリスト教なのは確かなのだと思う。典礼はシリアの東方正教会に近いためシリア系キリスト教とも呼ばれていた。

この古いキリスト教の上に、ポルトガルがあとから布教したローマン・カトリックがあり、さらにイギリスが植民地時代に伝えたプロテスタントもある。歴史が長い分、派閥の分裂や改宗も複雑だ。なにより少数派なので、彼らについての資料はそれほど多くない。

しかし、インドにも長い歴史を持つキリスト教コミュニティが存在する、という事実、シリアから繋がるルートがあったという歴史は、とてもおもしろいテーマだと思うのだ。