ニワトリはなぜ毎日たまごを生むのか→そもそも毎日産んでない

人類はなぜニワトリを飼育し始めたのか、という話をしていた時に、卵を食べるためだと思っている人がけっこういたなとふと思い出した。
しかし卵いっぱい生むようになったのは近代の話、かつ、日本では、養鶏がシステマチックにできていて、効率的に卵を産ませられるようになっているから、溢れんばかりの卵を安く買えるというだけの話である。
ニワトリの原種ヤケイは一年にせいぜい数十個しか卵が生めない。

そして、実は野生の鳥も繁殖期には「毎日卵を生むことが出来る」。
たとえばツバメは、毎日1つずつ産んで、5、6個そろったところから温め始める。卵を産むにはエネルギーが要る。お腹の中で卵の殻を作るなどの作業も必要になる。そうすると、一気にたくさんは生めない。これはニワトリも同じだ。

ツバメの場合、いちど繁殖に失敗しても、もう一度最初から卵を生み直す事ができる。そうすると6x2=一羽で12個産めることになる。
個体差によって3月末から生み始める個体と、5月半ばから生み始める個体がいるとすれば、「ツバメは春の間、毎日卵を生み続ける鳥である」と言うことも出来る。

調べてみると、卵の個数というのは、天敵に襲われやすい種類ほど多いようだった。
巨大で硬い卵を産むダチョウなどは、卵を食える動物が少ないし、そもそも凶暴な大人のダチョウと張り合って卵を狙えるド根性のある動物が近くにいることはめったに無いから、数が少ない。チドリやツバメは多い。
してみると、ニワトリの卵が多くなった理由は、毎日毎日、生んだ先から人間が卵をかっさらうからでもある。


しかしそれでも、ほぼ毎日のように卵を産めるのは、若いうちの一瞬だけだ。

農林水産省のこども向け解説サイトによれば、ニワトリは生まれて半年くらいで卵を生み始め、その後の一年半くらい年に300個の卵を産むが、だんだん卵を産まなくなっていき、若いニワトリと交代させられるのだという。
https://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0006/22.html

というわけで、卵のためだけにニワトリを飼うのは効率が悪い。肉メインの卵ついで、くらいでないと飼おうと思わないのではないか。
「毎日卵を産む」とか「卵をたくさん産む」は原種のニワトリだけが持つ特性ではないし、おそらく、肉、卵、羽毛、それとニワトリの持つ「ナワバリに厳しい」という特性を全部ひっくるめて、家畜として価値があると見なされていた、という理解が妥当だと思う。

ちなみにニワトリのナワバリ意識は、田舎で半分放し飼いのニワトリの群れに近づくと意味が分かります。
よそ者クッソ威嚇されるんで。群れのボスみたいな雄鶏がものすごい形相で襲いかかってくるぞ。ニワトリの中に眠る野生をぜひ試してみよう! あとあいつら実は飛ぶからな? 鶏舎の屋根からフライングアタックもしてくるぞ。



あと、ニワトリの卵が体内でどのように形成されるかは詳しい論文があったので以下。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjo1986/52/1/52_1_1/_pdf

白色レグホンだと、「5日にわたり1日1個ずつ計5卵を放卵し,1日休産の後,ふたたび5卵の放卵をくり返す」というような産卵パターンになるようで、産まない1日の間に卵の下準備をしているようだ。
卵を産ませるためのニワトリは、人の手によってかなり品種改良された結果だということも分かった。

いいか悪いかは別として、原種からはずいぶんかけ離れた生き物になってるんだなぁ、と思った次第。

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おまけ

ニワトリはいつから西洋呪術に使われるようになったのか。飼育と呪術の歴史を考えてみる
https://55096962.at.webry.info/202106/article_8.html

古代エジプト・メソポタミアでニワトリ飼育が遅れた理由は「伝来したのが食用ニワトリじゃなかった」可能性
https://55096962.at.webry.info/201706/article_24.html