ポポカテペトル火山と人口移動の理論。火山噴火はやっぱ怖いよね…

ポポカテペトル火山、メキシコにある富士山ライクなスタイルの美しい火山で、たまに噴火してニュースにもなる。

cap.PNG

1280px-PopoAmeca2zoom.jpg

この山の過去の大噴火が先古典期のマヤの人口の偏向に関係したかもしれない、という話。
ざっくりいうと、大噴火で近辺の集落が吹っ飛び、堆積物でしばらく住めなくなってしまったため、人々がまだ住める近くの都市に移住していった、という話である。

Image1.jpg

Aがポポカテペトルで、これは紀元後1世紀頃に大噴火した際に埋もれてしまった地域の予想マップ。
ラハールというのは噴石や火山灰が降雨などによって流れ出し、地面を覆ってしまう現象で、覆われた地域はしばらくすめなくなってしまう。(サクナヒメをプレイした人は、火山灰に覆われた田んぼを復活させるのに苦労したことを思い出そう!)

地図中の▲5にあるテティンパ遺跡などは特に壊滅的で、1mもの噴石に覆われてしまい、その後、放棄されてしまったようだ。
▲2のチョルーラは近くに丘があり、噴石などの流入がある程度防げたために放棄されず、逃げてきた人を吸収する。また、北のほうにあって無事だった▲1のテオティワカンは、その後、巨大な人口を抱えて発展を遂げていく。

なお、現在の首都メキシコシティはこの位置。
ここに大きな都市が誕生したのは、淡水湖があったからという理由もあるけれど、おそらく火山噴火のさいに壊滅的な被害を被らないことも条件の一つにあったと思われる。ポポカテペトルはおよそ1000年~300年の単位で大噴火を起こす火山で、その意味では、人々はかなり頻繁に山が火を吹く様を見ていたと思われるからだ。

maex.PNG

というわけで、最初にこの辺りに大都市が出来た理由は、地図で見ると「あーなるほど…」という感じなんである。
乾燥化が進んだサハラから人々がナイルの河岸に引き寄せられたエジプトに比するなら、メキシコ盆地では、火山の噴火から逃れた人が被害の及ばない地域に集まってきたというわけだ。火山の多いメキシコならではの事情が垣間見える。

なお、噴火のあと100年ほどの間にテオティワカンは三倍から四倍に急速に人口が膨れ上がり、六万人から八万人に達した、という。
移民や難民が集まってきたにしても、相当な規模である。火山の噴火がもたらす社会の変革として面白い研究モデルだなぁと思った。


*ソース
古代アメリカの比較文明論: メソアメリカとアンデスの過去から現代まで - 和夫, 青山, 仁志, 米延, 正人, 坂井, 紀, 鈴木
古代アメリカの比較文明論: メソアメリカとアンデスの過去から現代まで - 和夫, 青山, 仁志, 米延, 正人, 坂井, 紀, 鈴木