ナイル川、水質汚染が生物の生存限界に達しようとしている件

ナイル川に水を提供する青ナイルの最上流、エチオピアに巨大なグランド・ルネッサンス・ダムが完成し、稼働を初めてから、エジプトではけっこう悲観的な報道が多くなっている。最上流で水をせき止められると、下流にくる水が減ってしまうのではないかということ。ナイルの河川ぞいに都市が増え、上流のエチオピアやスーダンでも水の使用量が増えていることから、エジプトまでやってくる水はすでにギリギリである。

さらに水質汚染の懸念も出ている。浄水設備はまだまだ不十分。そして、畑作で灌漑用に流した水の残りを川に戻す際に汚染が入り込むことがある。
ナイル上流で水が多くつかわれるようになると、そのぶん汚染された水が川に戻ってくることにもなる。そうすると、エジプトに入ってくる水が汚れた状態になる可能性があるというのだ。

ナイルの水質汚染については、もう何年も前から色々言われていて、論文なども出ているが、どういう状態か数年前のデータをメモしておきたい。

Indices of water quality and metal pollution of Nile River, Egypt
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1687428516300917

キーワードになる「WQI」とはなにかを、以下の論文から抜粋する。
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/161875/1/a55b0p03.pdf

wqi.PNG

計算方法も上記の論文にかかれている。

世界で統一された、水質の状態をはかる指標である。100が良好、55あたりで生物の生存は限界になるという。
日本の河川だとこんな感じで、どこもまずまずの数値。

japan.PNG

これがエジプトさんだと以下の状態に。。


1-s2.0-S1687428516300917-gr1.jpg
↑採取地。1が最上流のアスワン

nile.PNG
↑最上流はそれなりに数値がいいが、都市の近くや水路で採取されたものは数値がボロボロ、測定時期や測定方法によっては生物が住めない状態の汚染と出ている部分もある。

詳しい数値や成分は元論文のほうに出ているが、人間の生活から出ている重金属類が水をどんどん汚染していき、とくにナイルの水量の少ない季節ほど汚染が厳しくなるようなのだ。エジプト政府の定めた基準をクリアしていない排水による汚染だろうと論文では言われている。この状態の水を飲んでてよく病気にならないなって思ったけど、そういやエジプトでも川の水飲んでる人ほぼいなかったわ。みんな飲料水はミネラルウォーターだったわ。なんか察した。

あとナイルの漁獲高が激減してるっていうのも、これ見ると「そりゃそうだろ」としか言えないですね。中国で黄河や長江の汚染が問題になってたのと同じ理由だね…。


水量もそうだけど、水質という意味でも、現代のナイルは、すでに半分死んでしまっているのかもしれないなあ…と、切ない気持ちになってしまうのだった。
(でもまあ人間がいなくなれば復活するんでしょうけどね)
(そう、いなくなるか減るかすれば…)