アフガニスタンのラピスラズリはなぜ枯渇しないのか? →近代に至るまでほとんど掘れなかった可能性

古代オリエント世界におけるラピスラズリは、紀元前3000年ごろから最も重要な宝石でありつづけた重要な品である。とれる場所は現在のアフガニスタン奥地の山奥の鉱山のみ。すなわち、ラピスラズリが発見された場所は、その時代にアフガニスタンからつながる交易路のどこかにつながっていたと言うことができる。

しかし、現在に至るまで採掘されていることを思うとこれは奇妙なことだ。
ずっと人気の宝石であり続けたラピスラズリ、一体なぜ枯渇しないのか?

ヌビアの金鉱も、エジプトの紅海沿岸のエメラルド鉱山もほぼ枯渇した。現代技術をもってより深く掘れば再び出てくるかもしれないそうだが、採算が合わないからと手を付けられていない。
掘り続ければいつかは枯渇するのが天然資源である。産出量をコントロールして値を吊り上げていたとかでもないのに、今も掘り続けられるのはなぜだろう。

そう思ってちょっと調べてみたら、とても簡潔な答えが見つかった。

 「鉱山が僻地すぎて、簡単に掘りに行けない」。

どうやら、アフガニスタンのラピスラズリ鉱山は、標高3000kmの高地にあって、高地なれしている近所の人、かつ、雪が溶けている夏場にしか採掘にいけないようなのだ・・・。


日本語資料
https://gemhall.sakura.ne.jp/gemus-lpslzr-2.htm

この資料で「サーレサン」と言われている鉱山、実際の綴はSar-i Sang(Sar-e Sang)。
場所見ると「ああ…これは簡単に掘りに行けないわ…」ってわかるよね。むしろ紀元前3000年紀にここまで掘りに行った古代人すげえな。神津島まで黒曜石掘りに行った日本の古代人とどっこいどっこいか。
https://en.wikipedia.org/wiki/Sar-i_Sang

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現代では電動工具などもあるため採掘自体は効率化されているようなのだが、いかんせん、現場にたどり着くまでが遠い。ヘリコプターなんて飛べる高さじゃないので、車で頑張るしかない。道中の動画を見ると、これは行き帰りですら命がけなのでは?? という感じ。

https://www.youtube.com/watch?v=pwyc5uRxvYE

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そんなわけで、古代人の絶大な需要がありつつも、極限の環境で採掘されるもののため供給量は一定量を超えることがなかった。だから枯渇することがなかったと同時に、ガラス製品が誕生して人工の「青」が作られるようになっても高い価値を保ち続けた…という図式が見えてきた。

とはいえ、鉱山資源はいつかは枯渇する。

現代機器を持ち込んでの採掘は、古代よりはるかに効率的になっている。ダイナマイトによる発破や電動ドリル、さらに現場までの行き帰りに車が使えるのも大きいだろう。
採掘のペースは加速しているはずで、いつかは、古代人の愛した青い石も、新たに発見されることはなくなるのかもしれない。



…いやしかし、それにしても、古代から採掘されてて、今に至るまで現役の鉱山ってのはまだあるもんなんだなぁ。
たいてい掘りつくされたものかと思っていたよ…。