ダチョウのパワーで世界を救え(?)。ダチョウファームと卵のちから

なぜか健康食品コーナーに置いてあったので読んでみた「ダチョウ力(ぢから)」。にんにく卵黄とかと間違われて配置された気がしなくもない。
日本で「世界初」、ダチョウの卵から作る抗体というものが実用化されて数年前に話題になっていたのだが、そこに至るまでのダチョウ飼育の苦労や裏話の本である。

ダチョウ力 愛する鳥を「救世主」に変えた博士の愉快な研究生活 - 塚本康浩
ダチョウ力 愛する鳥を「救世主」に変えた博士の愉快な研究生活 - 塚本康浩

ざっとした内容はこのへんに書かれているもの

人気のないダチョウ研究に没頭する激ヤバ博士だったのに、感染症問題でめちゃめちゃ注目されてきた学長
https://www.jst.go.jp/tt/journal/journal_contents/2020/09/2009-02_article.html


ダチョウは元々、廃棄処分になるもやしを食べさせるために輸入されたらしい。
しかしどうもコスパが悪く、もやしを食う以外に皮や肉などの実用も試されたがどれも不発に終わる。そんな中、タマゴを利用して抗体を作ればめっちゃ儲かる、ということが発見され、今や一躍、時のトリである。

仕組みはこうだ。
ダチョウは免疫力がめちゃくちゃ強く、ストレス以外ではそう簡単に死なないため、鳥インフルエンザなどのウイルスを注射しても、死なずに体内で抗体を作る。抗体の出来た個体が生んだ卵には、抗体が引き継がれている。その卵から抗体を取り出せば、薬が出来る。

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ダチョウの卵はでっかいので、鶏卵より効率的に抗体を抽出できる。しかも免疫が強いので、ニワトリだと死んでしまう鳥インフルエンザ用の抗体も採取できる。「救世主」と呼ばれるゆえんである。これ思いつくのもすごいなぁと。

ただし本の内容は、クスっと笑えるダチョウ飼育の苦労話が多かった。

ダチョウは鳴かないので黙って求愛行動をするらしいのだが、黙ってぐねぐね首を動かしているので悪魔召喚の儀式にしか見えない、とか。発情期のオスは人間も恋仇だと認識して襲ってくる、とか。ケリ入れられると普通に骨が折れるし気絶する、とか。糞がめちゃくちゃ臭いとか…。

研究予算の確保に苦労している話も出て来るが、「国から研究費が降りても3割大学に取られる」とかアッ言っちゃうのそれ、みたいなのが書かれている…まあ、その後出世して学長に就任されているみたいなので、多分セーフだったんでしょう。(何がだ)

ダチョウ肉は焼くと固すぎるが蒸すと食べられるとか、目玉焼きをつくるのにフライパンで間に合わずホットプレートだとか、飼育していないと出てこない雑学も仕入れられて面白い。

単純に「ダチョウって飼えるの?」とかの疑問を持ってる人も楽しく読めると思う。



あと、ちょっと気になったのは、この研究って最近COVID-19でもちょいちょい言及されてるんだけど、本当にダチョウはコロナウィルスの抗体作れるんだろうか? そもそもウィルス受容体の形が違いすぎて人間のような感染はしない気がするんだけど…。(もしダチョウが感染するなら、ニワトリとかもコロナウィルスに感染出来てしまうのでは。)

https://koutai-mask.com/

そこは今後の研究待ちか。