アルタクセルクセス2世、ペルシア版ラメセス2世だった件

古代エジプト第27王朝と第31王朝は、ペルシア支配による王朝である。

いつもはエジプト側から見ている時代なのだが、そういやペルシア側から見たことなかったな…ていうかペルシアの通史ってあんまり見た覚えないな…というわけで、ちょっとペルシアの本とか探してきてみた。

ペルシア帝国 (講談社現代新書) - 青木健
ペルシア帝国 (講談社現代新書) - 青木健

うんなんか著者がいつもの人だね(笑
日本語でペルシア関係探すとだいたいこの人だな…うん…たぶん研究者が少ないか、本書く人が限定されてる。

それはともかく、本の内容としては値段のわりにボリューミーでなかなかお得であった。あまり他の本で扱われていない、ペルシアの歴史の初っ端あたりから書いてくれているし、エジプトに攻めてきてた時代もきっちりカバーされていて読み応えがあった。
で、その中で「これは…!」と思ったのが、アルタクセルクセス2世についての記述である。

なんとペルシア版のラメセス2世だったのである…。

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(この本は王名をペルシア語で記載しているので、アルタクシャサ2世になっている)

・治世が長い(44年/他の資料だと46年というものも)
・正妻は数名だが側室がめちゃくちゃ多い
・そして子供もめちゃくちゃ多い 男児だけで100人越え…だと…?
・治世の中に歴史的な戦いがある ※クセノフォンの「アナバシス」はこの王の時代

悲しいかな、治世が長く子供が多かったため死後はお約束の後継者争い、次の代は王族殺戮ラッシュで一気に100人以上粛清という、オスマン帝国のハレムもびっくりの思い切ったことをやらかしている。そのお陰で数代のちにお家断絶。うーんこの。
今まであまりペルシアの王って個別のエピソードで認識したことがなかったのだが、なるほど、この王の治世が終わったあとエジプトが再独立に成功する理由もよく理解出来た。ペルシア側が後継者争いとか内乱でゴタゴタしてて、ほんとにそれどころじゃなかったんだ…。

次にエジプトがペルシアに支配されるのは、約50年後のアルタクセルクセス3世。
しかしその頃にはもうペルシア帝国の勢いもかなり衰えかけており、存続は厳しくなっていた。

そこへ現れるのがアレクサンドロス。ヘレニズム時代への突入である。


歴史はやはり、両サイドから見ると理解が飛躍的に進むものだと思う。大きな戦争が起きたのなら、「攻める側」と「攻められた側」の情報があるとベスト。もちろん、古代だと大国側しか記録が残っていないことは多々あるのだけれど。

そんなわけで、ペルシア初心者には良さそうな本でした。
調べようとしてた内容とは別に、ゾロアスター教が実はペルシアではあんま流行ってなかったとかの話も読めて面白かったですたい。