古代エジプトの服飾・縫製事情 ~古代人の型の取り方

服の縫製って時代ごとに違うんだよね、という話をしていてちょっと思い出したのだが、古代エジプトの服の縫製の仕方って現代から見るとけっこう面白い。
えっ古代エジプト人って布巻いてたんじゃないの?? と思うかもしれないが、実はチュニックの出土例も多いのだ。
たとえばこちら、トリノ博物館所蔵の第5-6王朝くらいの時代とされるチュニック。お墓から出てきたものだが、乾燥している国なのでやたらと残りがいい。

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これは袖と胴体の部分が別々のパーツなのだが、こういう別れ方をしている。そう、切れ目が身体のサイドじゃなく真正面にあり、袖の付け方が現代とはずいぶん違うのである。どうしてこういうやり方になったのか考えてみると面白い。

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この縫製の仕方をしている遺物は他にもいくつかあって、中王国時代のチュニックも同じ作り方をしている。
袖なしの場合だと、大英博物館が所蔵するもののように完全に丸い筒にしてしまって、頭を入れるところを丸くくりぬいた簡単なものもある。

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しかし何しろ出て来るのがお墓からなので、普段からこういう服を着ていたのか、何か特別な時に着ていたのかは分からない。
少なくとも壁画などによく出て来る格好とは違っている。おそらく壁画や石碑の格好は儀式的なもので、こういうのが普段着だったのではと言われている。(ちなみにツタンカーメン墓からもチュニックは何枚も出てきている。王も別に半裸で暮らしていたわけではない…)

服を作るためには、繊維をより合わせ糸をつくり、それを織って織物にし、さらに染色や縫製といった加工も必要となる。
古代人のやり方は、当然ながら現代とは違っている。服飾が好きな人は、はるか昔の工程を調べてみるのも楽しいと思う。古代エジプトはやたらと遺物の残りがいいので、こうした実際の縫製の跡はもちろん、糸つむぎセットや針、メジャーなどもも一通り残っているので…。