アクエンアテン王かもしれない、とされたミイラ、生前の顔が復元される。

詳細な報告はまだこれからだそうだが、ツタンカーメンの近縁の親戚と考えられているKV55(王家の谷の55番墓)から見つかったミイラの顔面復元が公開された。古代エジプト第18王朝(アマルナに首都を置いたことから、「アマルナ王朝」とも呼ばれる)

King Tut's father revealed in stunning facial reconstruction
https://www.livescience.com/mysterious-ancient-egypt-pharaoh-king-tut-father-reconstruction.html

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この骨は、過去のDNA調査でツタンカーメン王の父親では? とされていた。ただし記事の本文にもある通り、近親婚の多い王家ではそう簡単に答えを出すことはできない。また、実は死亡時の年齢が30歳未満、おそらく26-7歳くらいとされているため若すぎるんである。この骨がアクエンアテンだとすると、17-8年即位していた、という事実と計算が合わない。アクエンアテンだとするならば、死亡年齢は最低でも35歳以上でなければならない。

なので、今のところ正体不明の、ツタンカーメンの近い親戚、となる。(病理学的な死亡年齢の推定を疑う場合は、他のミイラの検証も等しく疑わなければならなくなるので、普通そんな選択はないと思う)

可能性があるのは、ツタンカーメンの兄か叔父あたりで、旧来の説かつ一番妥当そうなのはスメンクカーラーだという説である。
ちょうどよさそうな未知の王がいるのに、その名前を素直に当て嵌められないあたりにエジプト考古学の面倒くささがある。


さて、正体について今のところはっきりしないということにしておいて、この顔を見た時、ちょっと面白いなと思ってしまった。
ツタンカーメンの第二の棺の顔に似ていると思ったからだ。

ツタンカーメンの埋葬には、三重の棺と黄金のマスクが使われていた。そのうち、第二の棺については他と顔の雰囲気が違うこと、大きすぎて第一の棺にはまりきらず急遽削った跡があることから、他の誰かのために作られたものを転用したのでは、と言われてきた。

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その顔が、今回の復元に似ていると思うのだ。
有名な↓黄金のマスクと比べても、いかつい雰囲気で、少年というより成人男性の雰囲気なのが分かると思う。

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…もしかして、第二の棺はこのKV55の被葬者のために作られたのでは?
なんとなく、そんな気がする。今のところなんとなくだけど。もちろん、顔の復元をする人が最初からこの棺の顔をイメージして似せた可能性もあるのだけれど。



復元された顔を元して語るのはあまりにも根拠が薄いが、アクエンアテンはきっと、こんな現実を見すえたような顔はしていない。もっとずっと遠くの、何か凡人に見えないものを見ている顔のはずだ。
だから私としては、この人物はアクエンアテンではないと思いたい。