ナイル川の水はほとんどエジプトに辿り着かない。途中で蒸発するか使われてる。という話

何を調べてたのか分からないけど気が付いたら辿り着いた資料が面白かったので、ちょっとメモしておくことにする。
ナイル川はとても長くて、上流で降った雨のじつに95%がエジプトの手前で蒸発霧散してしまい、そもそもエジプトに辿り着かないらしい。

国際河川ナイル川の水資源(1)
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010683052.pdf

※2003年の資料なので、その後できた巨大ダムなどによって、下流への流量はさらに減っているはず。

↓これが、ナイル川に流れ込む上流の国と川の繋がり。
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大きく分けて青ナイル系と白ナイル系があるが、エリトリア方面からきているアトバラ川や、青ナイルとの合流地点より上流で合流しているソバト川などもある。

青ナイルと白ナイルそれぞれの水源地の降水量。
1000mm以上の場所が広がっている。これがナイルに流れ込む水の出所になる。

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ちなみに日本の平均降水量は1718mmであり、2000mm越えの地域も多い。なのでこれらの地域は、日本の中でも比較的降水量の少ない瀬戸内海くらいの量の雨が降っている地域になる。
日本人からすると「年間1000mmとかそんな少ない量でよく大河作れるなぁ…」なんだが、世界平均から見るとこれでもかなり多い。というか逆に日本が雨降りすぎなんである。大河は無いけど川めっちゃある理由がそこにある。水力発電向きの国土なのである。

この、降った雨の中で最終的にエジプトまで辿り着き、使える量はというと…。
この状態。20年前の時点で555億m3

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日本に比べるとだいぶ少ない。
というかこの量を川一本で支えてるナイルはやっぱり世界でも第一級の河川なんだな…と思う。

ちなみに日本はこれ。
理論上約4,200億m3利用可能で、約800億m3使ってます。そりゃ毎日風呂入れますよ、これだけ水があればね。

https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/mizsei/mizukokudo_mizsei_tk2_000012.html
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石油とかはないけど、世界でもまれにみる真水資源大国なんですよココ…でかいダム作れなくて、地域またぎの水の融通が出来ないから渇水が起きるってだけで、全体で見ればめちゃくちゃ水持ってます。


あと、ナイル川ってエジプトで見るとものすごく平坦な川のイメージだけど、実は出発点は急こう配というのも改めて見るとよくわかる。
青ナイル川で洪水が起きやすいのも、この急こう配のせい。途中に湖があれば流れはゆるむんだけど、それもないからね…。

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去年の記事↓
スーダンでナイルの増水&氾濫が止まらない。メロエのピラミッドも大ピンチに…
https://55096962.at.webry.info/202009/article_8.html


現在エジプトは、このただでさえ少ない取り分を減らしたくないと、上流の国々がダムを作ることに神経をとがらせている。
しかしダムだけでなく、流域の人口が増えて水の使用量が増えたり、畑が増えて灌漑のために採水したりすると、下流に辿り着く水はどどんどん減ってしまうのだ。しかもエジプト自身も人口が増え続け、居住地を増やすためや食糧生産のために、にさらに多くの水を必要としている。

かつて文明を育んだナイルの恵みも、現代においては決して盤石なものではないのだ。