彼は死後、神と対話出来たのか。エジプト、タップ・オシリス・マグナから「黄金の舌のミイラ」発見される

身体の一部を補ったミイラは珍しくないけれど、舌を作ってるのは珍しいな…。という感じ。
エジプト北部、アレキサンドリアからは西の方にあるタップ・オシリス・マグナから、舌を補ったミイラが見つかったという話。

古代エジプトのミイラ、とは言われているけれど、約2千年前でちょうどプトレマイオス朝からローマ支配時代に移行するあたりの時代なので、古代エジプトと言っていいかは微妙。ヘレニズム時代、とかギリシャローマ時代、あたりのほうが無難かと思う。

Mummy with a gold tongue found in Egypt
https://www.livescience.com/mummy-with-gold-tongue-discovered.html

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身体の一部を補うのは、古代エジプトの思想では死後の世界で復活して永遠の生を得る、というものがあったためだと考えられている。死後の世界で不自由なきように、というわけだ。他には、たとえば、足の指を失った人がミイラに"義足"をつけて埋葬されていた例もある。

Earliest prosthetics toes helped Egyptians walk
https://www.natureasia.com/en/nmiddleeast/article/10.1038/nmiddleeast.2012.161

Toe_in_Egyptian_Museum_Cairo.jpg

腕や目、鼻など、身体の一部を補ったミイラは何例か知られているため、今回のミイラも、もしかしたら生前は何か喋る機能に問題があり、死後はうまく喋れるようにと舌を入れられたのでは、と考えられているわけだ。

舌が補われている事例は初めて見たし、黄金で作らせたのなら多分この被葬者はそれなりにお金持ってたはず。
古代人の「死後の永遠」にかける憧れや執念みたいなものが垣間見える発見だ。
古代エジプト人の死後の世界では、死者は神々に対し生前悪いことをしていない、という申し開きをしなければならない。果たして彼は死後に手に入れたこの舌で、神々にどんな熱弁をふるったのだろうか。



なお、ここの遺跡は長年、「クレオパトラの墓がある! もうすぐ出て来る!」という感じで煽られ続けながら発掘されていた遺跡だ。
その後の続報出てこないなぁと思ってたら、なぜかドミニカ共和国の大学とエジプトさんが合同調査していた。なぜドミニカ…? と思っていたのだが、過去ログを漁ってみると、どうも最初にこの遺跡に注目したのがドミニカ人だったようなので、おそらくその縁だろう。

今月のナショジオ特集「クレオパトラの墓さがしてます」(※まだ見つかってません。)
https://55096962.at.webry.info/201107/article_3.html

あとこんな報道もあったなぁと。
いや、一つの遺跡を10年掘り続けるのはすごいことだし大事な調査だと思うんだけど、どうもこの遺跡に関しては報道で盛り上げるだけ盛り上げて内容の実が無いのが気になっていた。

「世紀の発見、マグナストーン!」という番組が宣伝されていたので放送前にネタをバラしておく
https://55096962.at.webry.info/201712/article_24.html

とりあえず発掘は進んでいるようで何より。
見つけたぞわーい、で終わらずに、考古学者の義務としてやるべき調査はやってほしい、でないと…死者も浮かばれないので…。