またですか。飼い犬の起源はきっとシベリア! 的な説が出る。

ここ数年はわりと大人しいかなーと思ってたけど、なるほど? シベリア起源?
2万3前年前にシベリアで飼いならされた犬が全ての犬の起源になるのでは、というのが今回の説らしい。

Ice age Siberian hunters may have domesticated dogs 23,000 years ago

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シベリアはもともと古い犬の骨が発見されている場所の一つなので、飼育犬の起源地候補の一つだった。
しかし古代犬のDNAの分析も最近はだいぶ進んできていて、前回話題になった研究では、アジア方面とヨーロッパ方面の二カ所で飼育がはじまり、アジア系統が優勢になって今に至るのでは、という説になっていた。

[>参考
犬の起源はニ系統?(※現時点での暫定結果) やっぱりまた来た次の結果。
https://55096962.at.webry.info/201606/article_7.html

↓の赤い●のあるところが、より古い犬の骨が見つかっている場所

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しかし人間が犬を連れて新大陸に渡るためには、ホモ・サピエンスの新大陸出現より前に飼育犬が誕生していなければならない。前回の研究では、飼育が始まったのが1万4千年「以上」前で、新大陸到達の時期より若干遅くなっていたのが問題だった。今回は2万3千年前となっていて、これなら確かに新大陸に連れていけそうではあるのだが、逆に、飼育化の試みが早すぎて、「そのわりに他の地域への拡散が遅すぎない?」という問題が出て来てしまうように思われる。

ていうか、2万3前年前のシベリアで既に飼育犬がいたのなら、その人たちの一部は確実に日本まで到達して日本人の祖先の一部になっているので、日本に元々犬が居なかったのが謎になってしまうのだが…。うーん…。という感じ。


確実に言えることとして、新大陸に最初に渡った人々は犬を連れていった可能性が高い。
であれば、その時点で、出発地点であるシベリア北東部で犬は飼われていたのは間違いないと思われる。しかし、そこが「起源地」かどうかは、また別の問題だろうと思う。

[>参考
新世界、失われた最初の「イヌ」の遺伝子。~海を渡った幻の犬たちの物語
https://55096962.at.webry.info/201807/article_17.html

問題をより複雑にしているのは、犬とオオカミは共通の祖先をもつ類似種で、飼育犬は野生オオカミと交雑できるということだ。つまり初期の飼育犬は、形質的にオオカミと区別がつかないと考えられる。実際、考古遺物として見つかった骨が犬なのか狼なのか、という判定は、かなり微妙なラインであることも多い。(たまに論文ですら「ウルフライク(狼っぽい)」とか「ドッグライク(犬っぽい)」とかの単語を使ってるのを見かけるので…)

なので、「最初に犬の祖先を飼いならそうとしたのはどこの誰なのか」というのは、おそらく正確に突き止めるのは無理だと思うのだ。

とはいえ、研究者ごとに色々な切り口から自説を展開してくるのは面白い。頻繁に出て来る色んな起源説を遠くから眺めながら、学者同士、自説で殴り合っているのを微笑みながら見守っている…。今回も既にこの説に難色を示している先達がいるようなので、そのうちまた反論の論文が出るかもしれないね。たのしみ。