そういえばアナログ絵って道具が揃わないと描けなかったよね…という話。

整理してたら机の中からペンが出て来たぞ!!!

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えー何のペンかわかんない人もいると思いますがこれ、20年くらい前はわりと一般的に使われてたマンガとかの絵の下線を描く道具ですね。緑色の棒がペンの本体で、ペン先を嵌めこんで使うやつね。万年筆が近いかと。インク壷を手元に置いて、たまにインク零したり、うっかり力入れ過ぎてペン先が開いちゃったり、あと専用のマンガ用紙使わないと線の滑りが悪かったですよね。

今時はほとんどの人がデジタルに移行してて、こういったペンと紙の代わりに液タブとか使ってると思います。昔は描きたい線によってペンとペン先のセットを何種類も揃えて、インクも各色揃えてたりしたもんですが、デジタルだとお絵描きソフト一本あれば線の太さや色は変え放題ですからね…。

そう、アナログで描くということは

 描き始める前の道具の準備がとても大変

なんである。


コピックとか色鉛筆の場合は、使いたい色が切れてしまったら、その色をピンポイントで補充しないといけない。「黄色がない…!」「赤だけ掠れてきてる…」とか。

ペンとインクはあるのにペン先の替えだけない、とか。
書き損じてるうちに紙が足りなくなっちゃった、とか。

ノリノリで描いてる最中に画材が切れるのはわりと致命的で、しかもかつては通販も充実していなくて翌日お届けとかほぼムリだったので、必然的に予備多めに買っておくようにしてたり。お陰で引き出しの中は画材だらけになってたことも。うん、懐かしいな。



そして、アナログ絵が大変なことを思い出しているうちにフト気づいてしまった…。


古代エジプトの書記がやたら筆記用具を持ち歩いている理由が分かった。
あれ、外仕事の人は予備持ってないと仕事にならなかったからなんだ。

パピルスに文字を描くためには、葦ペンを使う。先端を筆のようにしたもので、書きたい文字の大きさや種類によって使う太さはまちまち。つまり、太さ色々なペンが筆箱の中に入ってる。
さらにパピルス紙にこすりつけるようにして書くのでペン先はだんだんすり減っていく。昔のマンガ用ペンでペン先をしょっちゅう取り換える必要があったのと同じ。仕事中に先を削りなおしている暇はないので、忙しい人はよく使う太さのペンは何本か揃えておく必要がある。

なんか、墓から出て来る書記の筆箱の中にやたらと筆が入ってるの、そういうことなんだ…。

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アナログ絵を描くために専用のインクや紙といった材料を揃えておかなくてはならなかったように、古代の書記たちも仕事のためには筆記用具一式を揃えなくてはならなかった。文字を書きはじめるためのハードルが高かったのだ。しかもお店に行けばいつでもインクや紙を売ってるような時代ではなかった。紙が手に入らない時には陶器の破片で代用したり、早い時代からインク専門の製造・流通網が発達してきたりする理由も判るというものだ。

同時に、そのへんの粘土をひっかいて字を書けばよかったメソポタミアの筆記形式は、資源という意味でも人手という意味でもとても低コストだったのだな、ということが分かる。何しろインクが必要ない。文字を書くには粘土に棒を押し付けて三角形を重ねていくだけなので、棒が頻繁にすり減るということもない。資源のない地域では必然の選択だったとも言える。




なお、我が家の発掘された冒頭のペンについては、再び机の奥の地層に埋め戻しておいた。多分もう二度と使うことはないんだろうけど、ペンは剣より強いと言われているので、剣を持った侵入者があった暁には、こちらをセットして投てき武器として使ってみようと思います。