【エジプトB級映画沼】えっ、スコーピオン・キングが5まで出てた?! 見なきゃ! というわけで

なんとあの! スコーピオン・キングが! 5まで出てた!!

…うん。いやあの、ぶっちゃけこれB級映画シリーズなんですけど、一体どこに需要が…ていうかよく5まで出したな…。
3あたりまでで記憶が途切れているのだがとりあえず5を見てみた。古代エジプトものなので。エジプトネタはとりあえず食う。

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【前提知識】
このシリーズは、「ハムナプトラ」に登場した下半身がサソリの王、スコーピオン・キングを主人公にしたスピンオフとしてスタートした。が、途中からハムナプトラあんま関係ない別物になっている。日本のアニメで言うと「リリかるなのは」とか「プリティサミー」とかの立ち位置である。
ハムナプトラ自体がエジプトを舞台にしたSF風ファンタジーホラー(?)だったが、そのスピンオフであるこの作品もエジプトが中心的な舞台となっており、シリーズに応じて近隣の国に出張して戦ったりする。
ちなみに、そもそもの大元は、古代エジプト初期王朝の王であるサソリ王、通称スコーピオン・キングである。なので舞台設定的にはいちおう、紀元前3,000年くらいの古代エジプトのはずである。

時代考証はめちゃくちゃなのであまりツッコんではいけない。
というか、めちゃくちゃなら最後までめちゃくちゃのまま突っ走って欲しいのに、時々がんばって考証してしまったシーンがあるのが余計に残念感を上乗せし、ツッコミが追い付かない謎テンションのまま見終わってしまうのがこのシリーズの楽しみ方である。要するに元ネタが判るコアな人向けのハチャメチャ☆エジプトファンタジーである。

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というわけで、今回もかなりブッとんだ内容でしたがもはやそんなこともどうでもいい…

この映画のヒロインは鷹ちゃんです。めちゃくちゃ可愛いの、CGじゃなく本物の鷹なの。画面の中で悪役たちが邪悪な相談溶かしてる時も、この子が画面の端っこで動いてるのが「ふぁーーーーかわいいいーーーモフりてぇぇーーー」って感じで全然邪悪なシーンになってない。動物に懐かれてる悪役。とても礼儀正しい。主人公を殺せるチャンスは何度もあるのに殺さないし、名乗るし、あと一騎打ちにも付き合ってくれる。全く緊張感がない。映画としては失敗だが不思議な満足感がある。

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あと、随所に出て来る蛇ちゃん、サソリちゃん、ゲスト出演のハゲワシちゃんもとっても可愛いのでアニマル好きは楽しみましょう。これでエジプトハゲワシならパーフェクトだった。

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武器はちゃんと古代エジプトで使われたケペシュ刀…だけどこれ、青銅器時代もだいぶ進んでからの登場だから、この時代にあるのは…うん。まあ、エジプト感を出そうとして頑張った感じはあるよね…。

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今作での設定として古代エジプト文明はシュメール人がやってきて開いたことになっているので、楔形文字がエジプトから出土したり、魔法の泥人形・ゴーレムがいたりとツッコミどころ満載ながらロマンを散りばめようとした感だけはある造りに。ていうかこれ…エンキドゥなんだ…? うんまぁ、うん…まあ…。
尚、主人公はアッカド人(シュメール人のあとにやってくる)という設定。半世紀くらい前には、古代エジプトの初期王朝は外来人が開いたという説があったので、たぶんそれを採用しているんだと思う。
一般の人向けには説明なきゃわかんねーだろって話で、こういうコアなネタをぶっこんでくるのがこのシリーズ…。

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このシーンも、元ネタ判らん人には「なんでエジプトの沙漠に木があるんや」って話になると思うんだが、実はエジプトには実際に木の化石が転がってる砂漠があるんだ。世界遺産になっている「ワディ・エル・ヒタン(鯨の谷)」というところの近くで、はるか昔に沙漠が緑に覆われていた時代のものが残っている。その名のとおり鯨の祖先の骨が化石になって転がってたりもする。そしてたぶん、背景の沙漠が白いのは「白砂漠」を再現しようとしているんだと思う…。

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やりたかったことは判る。元ネタ知ってれば通じる。
でもそのネタはコアすぎるというか、CG安っぽすぎて知ってる人にしか通じないだろwww ってなる。通じた人だけが楽しめる。そういう映画です。


ちなみにCGの出来は全般的にお察し。これなんてあまりに雑に合成されたベス神に、「いやー今時、素人のフォトショでももうちょっとさぁ…」みたいな気分になる。でもやりたかったことだけは判る。古代エジプトの暦は太陰暦から来ている、という説を採用して、月齢で初期の暦を表そうとしているシーンなのだと理解はできる。でもこの絵面はシュールすぎる。表現したいことは判るのに技術も予算も足りてない感。

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せめてもうちょっとマシな美術担当者はいなかったのか…(
そしてパピルス文書に楔型文字が書かれているというあまりにもシュールな絵面。楔形文字の「楔」とは。。

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紀元前3,000年、まだ初期王朝のはずなのに第四王朝末期にようやく揃うはずの大ピラミッドが既に揃っているという謎シーン。しかも現代と同じく表面の石が剥がれ落ちた状態になっているという、よく判らないシーンもあったり。いやあの、ていうか前後のシーンめちゃめちゃチープなのにどうしてここだけこんなに力を入れた。ピラミッド描く予算で戦闘シーン頑張れなかったのか。ツッコミどころ満載なのだが、このシーンの背景が美しかったのでやはり謎の満足感がある。ていうか、この背景単体なら気に入った。壁紙にしたい。

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…という感じで、ツッコミが追い付かない怒涛の展開が押し寄せてくるので、元ネタがわかるエジプトマニアの人にはオススメです。
スフィンクスの性別の違いとか、紅海航路とか、コアすぎてエジプトマニアでも一部しか知らんだろそれ誰得なんだよ…みたいなネタをさらりとブッこんでくるので、おそらくスタッフにエジプトマニアが潜んでいると思う。でも予算と技術が全く足りない。そういう映画。

本当に一体、誰得なんだこの映画…。
ワイ以外に楽しめる奴がおるんか…みたいな気になるけど、アマプラのレビュ―見てると楽しめてる人も一定数いるので世の中って広いなと思います。

とりあえず、この映画をネタにしばらく反省会で盛り上がれそう。こんなものがいつでも見られるとは、いい時代になり申した…。
お腹いっぱい、ごちそうさまでした。