古代エジプトのパピルス群に使われるインク成分の最新研究。ヒエラティックにも銅入りインクが使われていた

前段として、数年前の以下の研究を参照。
パピルス文書に使われているインクの成分をよくよく調べてみたら、今まで考えられていたように煤だけ使っているわけではなく、金属と混ぜた複雑な成分が検出された、という話があった。

エジプトのパピルス文書を分析したら、使われてないはずの銅を含むインクが使われてたらしい
https://55096962.at.webry.info/201711/article_22.html

この時は銅が中心だったが、今回は「鉛」の検出の話である。

Egyptians wanted their words to stick
https://cosmosmagazine.com/history/civillisations/egyptians-wanted-their-words-to-stick/

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記事の中に出てくる「Tebtunis temple library」については、以下を参照。
ギリシャ語とエジプト語(ヒエラティック)で書かれた、大量の文書の集合体だ。

History of the Library: the Library of Tebtunis Temple in the Roman Period?
https://www.ucl.ac.uk/museums-static/digitalegypt/writing/library/tebt.html

分析されたのは、紀元後100-200年頃のパピルス文書で、つまりはローマ支配時代にあたる。
この時代のインクに鉛成分の反応があり、顔料ではなくインクの成分として混ぜられているようだというのが今回の研究の趣旨。ルネサンスの時代には、絵具が乾きやすいように鉛を混ぜていたといい、同じ目的だったとすれば、インクが乾きやすいようにするためだったのではないかとされている。

つまりは、当時すでに速乾性インクが開発されていた可能性がある、ということだ。

前回、インクに鉛成分が検出された時に、「インクの成分今まで研究されてなかったんだ…これから出て来るかな…」みたいなことを思ったのだが、やっぱり出て来たね、という感じでちょっと嬉しい。いや、ていうか、今までは調べもせずに「煤だけでインク作ってました(キリッ」とか言っちゃってたんだな学者さんたち。やっぱ科学の進歩と再調査は必須だわこれ。古代エジプトみたいなメジャー分野で、しかもみんながよく博物館とかで見てる文書ですらこれなんだから。

常識を疑え。本に書かれた当たり前のような記述を疑え。
学問とは、そこから始まるものなのだ…。