デニソワ人がそこに「いた」痕跡を環境DNAの分析から発見。恐ろしい時代になってきたぞ…

今の時代だと、そういうのアリなんだ…。という感じの研究。

Denisovan DNA Found In Sediments Of Baishiya Karst Cave On Tibetan Plateau
https://archaeologynewsnetwork.blogspot.com/2020/10/denisovan-dna-found-in-sediments-of.html

deni.PNG

1年前にチベット高原で見つかったデニソワ人の骨、と言っているのは以下の発見。
それまではシベリアでしか見つかっていなかったが、チベット高原にも早い段階からデニソワ人が住んでおり、遺伝子の一部、高度順応に適した部分は現在のチベット人にも引き継がれている、という研究がある。

【解説】驚きの発見、チベットにデニソワ人化石
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/050800262/

で、今回同じチベット高原の近くの洞窟で、デニソワ人の生きていた更新世後期の「土」を分析にかけたところ、デニソワ人のミトコンドリアDNAが見つかった、というのだ。
なんで土で判るかというと、あらゆる生物は居住環境に何らかのDNAの痕跡を残すからだ。たとえば、排泄物や髪の毛、剥がれ落ちた皮膚の一部など。

これは、かつてネス湖にネッシーに該当する巨大生物が生息している可能性があるか調査する際に使った、環境DNA(eDNA)というものを使ったやり方だ。

ネス湖のネッシーの正体は巨大ウナギ! という報道→実は元の報道はちょっと違う
https://55096962.at.webry.info/201909/article_6.html

ただし、今回はミトコンドリアDNAということなので、デニソワ人が確実にそこにいたとは言いきれない。何故かというと、ミトコンドリアDNAは核DNAと違って母系でしか遺伝しないから。デニソワ人の母親から生まれたハーフとか、何代かあとの女系の子孫という可能性もある。また、死んだデニソワ人の身体の一部を動物が持ち帰っただけでも、DNAの痕跡は出てしまうし、土壌の場合、攪乱されている可能性も大いにあるので、年代の特定が難しい。

これだけでは、そこがかつてデニソワ人の住んでいた場所だとは言えないし、いつからいつまで住んでいたのかという年代も今のところ確実な結論を出すのは難しそうだ。
ただ、この手法が活用されるようになっていくと、今までとは先史時代の考古学ががらりと変わる可能性がある。今までは、石器と一緒に人骨が出なければ、その石器を作ったのがネアンデルタールなのかホモ・サピエンスなのか分からなかった。それがもしかしたら、今後は石器と同じ層の土壌を調べるだけで、結論が出るようになるのかもしれない。なんとも恐ろしい時代になったな…という感じだ。


****

記事の中にもあったけど、デニソワ人が発見されてからやっと10年か…という感じ。いや、ていうか、10年前は現生人類とネアンデルタールしか知られてなかったんですよねマジで。現代人にネアンデルタールのDNAが混じってるって判って来たのもつい最近だし。10年もあれば見えてる世界は全然違ってくる。常識がどんどん変わっていくからこそ、学問の世界って面白いなぁと思うのです。

現生人類のDNAの中には、まだ謎の領域もあるということで、もしかしたらあと10年後には、第四の未知の人類も見つかっているのかもしれないね。