エジプト本と見せかけて「数学の面白さ」を伝えたい本。「古代エジプトの数学問題集を解いてみる」

エジプト本かなと思ってぱらりと開くと、内容はエジプトなんだけど解説がめっちゃくちゃ数学だった。
よくよく見たら書いている人は数学の専門家だった。古代エジプトの数学を、数学者が面白く説明する、そういう本である。

NHKスペシャル「知られざる大英博物館」 古代エジプトの数学問題集を解いてみる - 三浦 伸夫
NHKスペシャル「知られざる大英博物館」 古代エジプトの数学問題集を解いてみる - 三浦 伸夫

この本は、古代エジプトの数学問題集、主に「リンド数字パピルス」と呼ばれているものから実際の問題を持ってきて、それに対して説明文や例題を出しているという作りになっている。難易度が簡単めなものから始まって、だんだん難しいものに進んでいく。掛け算、割り算から面積の求め方、立方体の堆積へと進んでいくので、難易度的には小学校の高学年から中学生あたり。しかしもちろん計算の仕方は現代とは大きく異なる。
現代人から見ると解き方が幼稚なように見えるが、それでも実際に計算されて出て来る数字は十分に実用に値する。だからこそ税収の管理やピラミッドの設計も可能だった。

この本の最後のほうに、「古代人の発想を知ることで数学の楽しさを知ってもらいたい」とある。答えを出すだけなら一つの方法を知っていればいいが、古代人のやっていた特殊な解法も面白いし頭の体操になる。10÷2=5 という答えを出すのに、10を2で「割る」のではなく、2を何回「足せば」10になるのか、という発想で解いても、正しい答えは出る。どちらが優れた方法か、早く答えが出せるのかという話は置いておいて、なるほどこういう解き方もあるのか、と納得する本である。

書いている人は数学メインの人だが、専門外だからと逃げはなく、情報源として無難なエジプト本をきっちり読みこんで書いているので、エジプト雑学本としても楽しめる。あと、数学が苦手な人は枕元に置いておいて例題を1-2問解くだけで瞬間的な眠気に襲われていい感じに寝つきが良くなる。
ぜひお試しいただきたい。


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…それにしても
…「サルでもわかる」って、古代エジプトの時代からあった言い回しなんだよなぁ。

学習態度の悪い生徒に「ヌビアから連れて来たサルでも注意すれば聞き分ける」はさすがに笑う