粉ひき器「サドルカーン」の起源は古代エジプトという誤り。麦食うのに必要だから麦作と一緒に誕生してるよ…

麦を粉にするのに使う石臼には、大きく分けて二種類が存在する。

 石を前後にすり合わせてその間ですり潰す「サドルカーン」
 回転させる「ロータリーカーン」

水車や風車も回転するので「ロータリーカーン」のほうだ。
違いは絵で見ると分かりやすい。そう、古代にはいわゆる「石臼」が無く、石でごりごりすり合わせる力業で小麦粉を作っていたのだ。
ちなみに「サドル」カーンという名前は、使っているうちに石がすり減って真ん中が窪み、自転車のサドルのような形になっていくことからつけられている。すり減った石がどこに行くのかというと、粉に混じって食べてる人の中に入るんである。ロータリーカーンが一般的になるまでの間、人々は石や砂の粒が入ったジャリジャリの粉を頑張って食べていた。

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さて、この「サドルカーン」だが、何故か古代エジプトで発明されたと書いてるサイトが幾つか出て来た。
どうせWikipediaあたりソースにして書いたんだろうと思うが、エジプトは壁画や遺物の残りがいいだけで、別に起源地でも何でもないし、そもそもサドルカーンが発明されたのは新石器時代に麦の栽培が始まった時なので、はるか以前の話だ。

だって、これ無いと麦を栽培しても粉にして食べられないんですよ?
麦の栽培化より後に粉ひき器が発明されるわけないじゃん…。何千年もの間どうやって麦食べるのよ…。

麦の栽培と麦作の起源についての話とか、参考資料このへん
https://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=7222&item_no=1&page_id=13&block_id=21

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というわけで、サドルカーンの登場は早ければ約1万年前だ。麦の栽培が起源地から広がるにつれ、エジプトやメソポタミアなど、周辺の地域にも広まっていった。
実際の遺物としても8,000年前くらいからは麦を潰すのに使ったと思われるものが東地中海を中心に出土するようになってる。


ぶっちゃけ、考古学や歴史などのジャンルはWikipediaで調べるより詳しい個人サイトのほうがマシというレベルだし、論文検索でそれっぽいの引っ掛けるほうがはるかに精度が高いですよ…。みんな、論文検索使おう…